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【読書】乱歩『猟奇の果て』を読む

こんにちは,もんぶらんです。

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春陽堂の江戸川乱歩文庫の旧版&旧々版を古本で発掘しました。題は『猟奇の果』。価格は忘れましたけれど,数百円くらいだったと思います。

旧版を入手

'19年11月,広坂にある「しいのき迎賓館」という建物の裏庭で行われた「雲と、雨と、石垣と。」というイベントへ。イベントタイトルは回によって変わるものの,毎年行われているようです。雑貨とか飲み物とかテーマごとにテントが並んでいて,ノスタルジックな雰囲気です。

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11月の最初の土曜日で,肌寒い夜でした。面白そうなものを求めて興味のあるテントに入ると,アンティーク時計や活版印刷とともに古本屋さんが出店していました。並んだ本が黄色い電灯で照らされています。何となく眺めていると,春陽堂の乱歩を発見。お店のおばさんも「良いの見つけたね」って言っていました。

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多賀新さんの銅版画が印象的なシリーズ。1987年発行の新版第一冊で,小口研磨本となっています。

旧々版の入手

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上林にあるうつのみやで,古本市が行われていました。良いのはあるかな~と思って背表紙を眺めていくと,見つけました。まさかの旧々版で,しかも1972年発行の初版。思いがけず見つけることができて嬉しかったです。勿論買いました。カバー画は高塚省吾さん。

新旧の比較

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時代差があるので価格はもちろん違うわけですし。。

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あらすじ

暇を持て余した大学生。次々に新たな刺激を求めていき,道を踏みはずし始める。

読後の感想

バスの中とかで読み,割とすぐに読み終わりました。

物語の構成としては,前半と後半とに分かれています。前半で事件が起き,後半で奇想天外に盛り上がって大団円。

個人的には後半が「ん~ちょっと...」って感じで,あまり納得できなかったです。できれば前半の趣で読み続けたかったな。。なんでも,乱歩は前半を書いたところで筆がとまってしまったそうで,後半は横溝正史の助言を受けて思い切り派手に書いて終わらせたとのこと。ミステリーっていうか,青少年むけのSFみたいな雰囲気です。前半の伏線も回収しきれていない感じで,ほぼ別の作品となっています。

しかし,それも乱歩らしいところではあるんですけれど。

それに,おなじみの登場人物。そういう意味では乱歩ワールドが凝縮された作品なのかも知れません。他の乱歩作品をまだ読んでいない状態で読めばきっと面白かったと思うのです。

同じ本でも読む時期によって印象が異なるというのがよくありますよね。私は小学校の頃に乱歩作品を8割くらい読んでしまっているので,現在改めて読み返すことで当時とは違った感想を持つことでしょう。

おわりに

ちょっとがっかり感はあったんですけど,面白くはある,不思議な物語でした。

春陽堂の江戸川乱歩文庫。初めて大人むけの乱歩作品を読んだのがこのシリーズだったので思い入れがあります。近年はリニューアルされており,書店の新刊コーナーなどで見かけます。何となく微笑ましいものです。最近完結したそうで。機会があったら買って読もうと思います。でも,古本の方が安いんだよね...と思ったりも。新刊以外は古本で,ってのもアリかも知れません。

ではまたお会いしましょう。


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