個人が成長するための一丁目一番地2/2

※前回記事の続きです※

前回の記事で、人が成長する第一歩は自己認識だと書きました。
そして、人が適切な自己認識を持つために必要なことは、『信頼出来る他者』と『日々の対話とフィードバック』が必要不可欠というところまでで記事を終えました。
今日はその続きを考えてみたいと思います。
なぜ、上記の二つが成長の第一歩である自己認識を行う上で、重要なのでしょうか。

まず、ここでの自己認識を「自己を客観視して、これまで認識してなかった自己に気づく」ことだと考えると、それは「他者とのコミュニケーション」を通して担保されるものだと思います。

職場の上司や同僚とコミュニケーションする中で、鏡越しに自分を見るように、「他者から見た自分」に気づかされる。それは、何気ない対話の時もありますし、耳が痛い指摘(フィードバック)を受ける場合もあるでしょう。いずれにせよ、人は他者とのコミュニケーションを通して、自分を客観視します。

次に、「コミュニケーション」を要素分解してみます。
諸説あると思いますが、ここでは大まかにコミュニケーションを、

・何を言うか(what)
・どんな言い方をするか(how)
・誰が言うか(who)

の3つに分解します。

さて、ここで冒頭の『信頼出来る他者』に話を戻します。

日々、人材開発に携わる中で感じることですが、上記3つの中で、特に「誰が言うか」が重要になります。
それが、当人が気づいていないことや、耳の痛いことなら尚更です。

なぜ「誰が言うか」が重要なのか。
その理由は単純です。人は信頼していない他者からの発信や指摘は、素直に受け取れないからです。
組織内でも、例えば上司/部下間で、「言っていることは理解できるが納得できない」、「言われた内容を曲解する(発信者の意図通り伝わらない)」、「そもそも信頼していない人からの指摘は受け取りたくない」のような画面に何度も出くわします。
このように言われたことを受け入れられないことが、当人の自己認識を阻害し、結果、成長の速度を鈍化させます。
マネジャーの視点で考えると、それは部下がワークせず、中長期的にチームのパフォーマンスを鈍化させることにつながります。

誰しも、これまで培った経験、認識、感情がある以上、「言われたことを素直に受け入れて認識する」ためには、「誰からそれを言われるか」、つまり、話し手と聞き手に十分な信頼関係があることが重要です。
『信頼出来る他者』の存在は、個人が適切な自己認識をし、それを起点に自己成長する上で欠かせない存在と言えます。

次に、『対話とフィードバック』がなぜ重要かについて考えます。

理由の1つはこれまでの内容と重複しますが、人は他者とのコミュニケーションを通して自己認識するためです。
尚、ここでは遠隔ではなく、対面/口頭でのやりとりを前提としています。
文章などで伝える場合もありますが、どうしても文字にすると、先ほどのコミュニケーションの要素の「伝え方(伝わり方)」に制限がありますし、文字は内容がそのまま相手の頭と感情に刺さるため、耳の痛い話は少々インパクトが大きい場合があります。
他者にフィードバックを行う時は、文字で伝える場合であっても、口頭で補足をするのが良いと思います。

もう1つの理由は、前述の信頼関係に関わる部分ですが「信頼関係は対話の量に比例する」ためです。
バケツ理論などでも言われていますが、要するに人は、お互いのことを良く知っている方が相手を信頼します。そして、お互いを良く知る、いわゆる相互理解は、対話を通して深まっていきます。

つまり、鶏と卵のような話になってしまいますが
・適切な自己責任を持つためには、信頼できる他者からのコミュニケーション(対話やフィードバック)が必要
・他者と信頼関係を担保するためには、日常、継続的なコミュニケーション(対話やフィードバック)が必要

ということになります。
信頼関係の意図的な構築も日常のコミュニケーション量の担保も手間がかかりますし、短期的な成果が見え難いため、優先度が下がりがちになりますが、個人が成長するためには、また、組織が中長期的に成果を出すためには必要不可欠だと感じます。

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