虚無舞台が思い出させてくれるもの

 Clubキャッテリアという(良席オタクが)虚無(になるだけかと思ったらいろいろやばかった)舞台が現在話題である。
 そのおかげか、別の意味で虚無舞台として名高い戦刻ナイトブラッドという作品が令和になってもなおホットな話題として浮上してきている。
 何が虚無か、それはまあ検索すればわかると思うので割愛。

 この虚無舞台、通称戦ブラは、コロナ前の私の青春を色濃くしていると言っても過言ではない。
そう、ふと思った。

 私が普段通っているメインの舞台と違ってチケット取り放題の閑古鳥が鳴く舞台だった。あんなにもキャストが豪華なのに。
 男女混合なのも個人的には好きだったし当時ゆるく推していた俳優が出演するということもあって、半分くらいの日程のチケットを買い、ハイタッチ会のためにまたチケットを増やし、今思うと暇だったんだなと思うようなことをしていたな。

 でも当時はそんな状況すら「暇」だとは思っていなかった。本当に、全日行くことも可能だっただろとすら思うのに。
 あの時は休みの日は休まないともったいないとすら思っていた。でも今ならわかる。遊びに全力でいられるのは学生の特権で、社会に出たら休むだけで精一杯だろう。

 そんな青春を戦ブラに捧げたのかという気も、まあ若干、若干はあるが。(もっと通った舞台あるしね……)

 ただ、こんなにも随所で話題になる戦ブラにリアルタイムで実際に参加した舞台オタクたちの中に自分もいるというのは、舞台を見たという経験以上の思い出ではある。
 精神的なつらさがあって干した日もあるし、ただ疲れすぎて家で寝ていたくて干した日もある。
 コロナ禍を通過して、なんとなく熱が冷めたような、そうでもないような。

 しかしまた俳優好きしか行かないような虚無の舞台を積みたい。そんな気持ちがある。
 プレゼントや手紙をこれでもかと送って、配信中に「今言ってたアイテムって私があげたやつ!?」なんて私信に喜んで。レスがもらえない時は憂いて。認知してもらってさらにヒートアップして。

 戦ブラのおかげであの日の情熱を思い出すなんて癪だが、そうなれるような俳優に再び出会いたい。
 とりあえず今は、推しと認めてもいいのかどうなのか揺れながらゆるく好みの俳優を追いかける日々だ。

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