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素直さと謙虚さ

私の中では、もうとっくに過去の人になっていた。

数ヶ月前まで同僚だった彼女は少し髪色を変えてポップなイメージに変わっていた。

つい先日、職場関係の恒例イベントでたまたま顔を合わせることになり、言葉を交わした。

「どうですか?新しい職場は…」

そう尋ねると

「はぁ……なんていうか職員が少ない分、人間関係がちょっと…」

と、微妙な表情を浮かべ言葉を濁した。

あえて詳しいことは聞かなかったが、特に落ち込んでいる風でもなく、深刻そうな感じでもない。

彼女から泣きつかれた事がある経験上、詳しい事情は聞かない方がいい。

働き始めたばかりの環境には、きっと彼女の想像とは違った空気が流れているのだろう。


今年3月。
突然、彼女が同じ福祉法人の職場へと異動になり、この職場を去ることになった。

周りの同僚たちも、

「えっ!そういうことになったの?」

と、一様に同じリアクション。

もうここには自分の居場所はないと思ったのだろうか…
周りがいくら関わっても
もうどうしようもないところまで来ていたのだから仕方ない。

適正以前の問題では⁉︎
と思わず首を傾げたくなるほどの失敗を繰り返してきた結果が、こういったカタチに繋がるのか…
わずか2年という間に数々の逸話を残して去っていった彼女が、また次の職場でも同じような事を繰り広げているという。
実際はどうなのかわからないが、そんな噂はパートで働く私の耳にも入ってきた。
職場が変わっても結局何も変わらない。
周りがいくら働きかけてもどうしようもない。


自分のしたことに責任を取れない人に何を言っても何をしても無駄だと。

一見、素直さと謙虚さを兼ね備えているかのようにも見えるが、それは自信のなさと人のアドバイスに耳を傾けない柔軟さが足りないのだと。

もともとの性格もあるが、自分のミスをしっかり受け止めることもせず、知らないふり?をしてそのまま放置する図太さが彼女の中にはある。
ただ本人はそれに気づいてない。
自分は悪くないと思っている。
むしろ自分は可哀想な人だと思い込んでいる。
ただ下を向いたまま。
その場が過ぎれば、また別の場面で新たな問題を作り出す。

これ以上、彼女に求めても苦しめるだけなのではないかと、関わってきた同僚たちは皆、口を揃えた。
彼女に関わる誰もが疲弊していた。
共にクラスを持っていた同僚は、
「もう無理です」と上司に告げた。


仕事でタッグを組むことが少なかった私でさえもそれを感じる場面があった。
アドバイスをくれた内容を理解するどころか、逆にその相手ごと非難してしまう。
泣きながら彼女の口からその言葉を聞いた時はさすがに引いた。

まだまだこれからなのに。
経験を積めば仕事の幅は広がるのに。自分からそのチャンスを逃している。
聴く耳を持たないのならばどうしようもない。
そんなやり方で仕事を転々としてきたのだろう。
次の職場では問題解決の糸口は見つかるだろうか。
彼女自身できっかけを掴んでほしい。


先日のイベントで久しぶりに会った彼女に一瞬驚いたのは何故だろう。
彼女はやはり、実在する。
過去の人なんかではない。
そこに存在するのだ。
とても不思議な感覚だった。

彼女から学ぶべき事はたくさんあったのだから。彼女が置いていった数々の逸話を笑っている場合ではない。
忘れかけていた何かを振り返るために目の前に現れてくれたのだから。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。









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