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NP・TSSパワーと疲労の関係/パワーメーターの活用

新しく下記マガジンを作りました。パワーメーターを使って最速でペーシングする方法についてほぼデータは揃っているので、順に書いて行こうと思っています。

今回は、パワーメーターを使ってペーシングをする上で最低限必要となる以下の4つの用語の関係について、ペーシングにどう活用するかの観点で解説していきます。

FTP : 1時間継続できる上限のパワー値
NP  : 標準化パワー。運動強度を表せるよう補正したパワー値。
IF    : 運動強度。FTPを基準にした運動強度の目安。IF=NP÷FTP
TSS : 疲労度を表す数値FTPでの1時間の運動=TSS100=IF1.0。
         TSS=IFの2乗×時間(h)×100

1.NPとTSS

Zwiftをやっている方にはお馴染みのライドレポート。以下2つの例

画像1

①平均187W 1時間12分 TSS 60

画像2

②平均186W 1時間07分 TSS 95

②の方が平均出力も低くて、時間も短いのにTSSは①よりも35も高い。ただし②の方が、急激な出力変動があります。ここからTSSは単純な平均出力を元に計算しているわけではないこと、出力の変動が大きいと大きくなることが分かります。

以下の表が理解できれば今日は終了です

画像6

この表は10分インターバルでどれも平均210Wに設定してあります。

ZWIFTのワークアウト作成機能で作成した、下の画像を見てもらった方がイメージし易いと思います。画像の下部真ん中付近にあるストレスポイント=TSSの値が表示されています。

スクリーンショット (20)

①NP210W  TSS49

スクリーンショット (18)

③NP232W TSS60 

スクリーンショット (21)

⑥NP278 TSS86

 1-1.NP

NPは標準化パワー、運動強度を表せるよう補正したパワー値です。

平均出力だけを見ると、強度の高いインターバルトレーニングをしても平均で見ると、一定ペースで走ったのと同じになってしまう。でもインターバルの方が体の疲労は大きい。

という事で、体の疲労度合いを表せるように補正した出力がNPと解釈するとよいでしょう。

NPの計算は複雑で走りながらNPを計算するような人はいません。※サイコンに表示はできます。その為、詳細な計算式より以下のような特徴を理解した方が実用的です。

表で示した高強度側のインターバル出力AとNPの関係をグラフにしたのが下になります。

画像7

インターバル出力Aが270WまではNPの増加は比較的緩やかですが、それ以降は直線的にNPが伸びています。

ポイント①NP
・インターバル的な走りをすると、NPは一気に増加していく。
・NPをなるべく抑えて走るには、出力変動を多くても3割以内に抑えると良い

 1-2.TSS

まずIFについて、

IF    : 運動強度。FTPを基準にした運動強度の目安。
IF=NP÷FTP

例えばFTP300WでNPが210Wだった場合は
210/300=0.7で IF=0.7となります。

FTP300WでNP300Wだった場合は、IF=1 となります。通常IF=1はめちゃくちゃ高強度で、30分以下程度の高強度トレーニングではたまにありますが、1時間を超えるライドでIF=1以上になった場合は、FTPもっと高いと思った方が良いでしょう。

次にTSSの計算についてです

TSS=IF×IF×時間(h)×100

先程の例でIF=0.7で1時間のライドをしたとします。この場合のTSSは0.7×0.7×1(h)×100=49 TSS=49となります。

ポイント②TSS
・FTP=NPで1時間走った時の疲労 ➺ TSS100
・NP/FTP=0.7で1時間走った時の疲労 ➺ TSS49 約半分
・NP/FTP=0.5で1時間走った時の疲労➺ TSS25 1/4

上記が大きなポイントで、FTPの50%1時間走った時の疲労は 50%ではなく、25%になること。

FTPで1時間走った時の疲労とFTPの50%で4時間走った時の疲労が同じになります。この事は、少し出力を節約するだけで、大きく疲労を抑える可能性があること、反対に少し出力を上げるだけで、疲労は飛躍的に増していく事を示しています。

表のインターバル出力AとTSSの関係を見ていきます。

画像8

インターバル出力Aに対して、TSSは飛躍的に伸びていきます。

インターバル的な走りをする➺NPが増える➺IFが増える➺TSSが増える。といった具合に同じ平均210WでもTSSで見た場合に、出力が極端に上下する走りをした場合は、TSS=疲労が急速に増えて行くことが分かります。

トレーニングの観点で見た場合は、効率的に大きな負荷を掛けれるという意味では、インターバルトレーニングでTSSを稼げると見ることができます。

しかしながら、レースでできるだけ疲労=TSSを抑えて走ろうとした場合には、インターバル的は走りをすると、疲労が急速に増えてしまうと解釈することができます。

2.まとめ

■同じ平均出力でNPを低く抑える為には、
 ・極力一定ペースで走る。※変動は30%以内に抑える。

 ※完全は一定ペースの時は 平均出力=NPとなる

■時間あたりの疲労=TSSを抑えるには、FTPに対してNPを小さくする

・FTP=NPで1時間走った時の疲労  ➺ TSS100
 ・NP/FTP=0.7で1時間走った時の疲労➺ TSS49 約半分
 ・NP/FTP=0.5で1時間走った時の疲労➺ TSS25 1/4


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