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予備試験論文・R5実務基礎刑事答案例

 令和5予備試験・論文の実務基礎刑事についてコメント付した答案例(PDF)を貼りますね。普段の勉強の参考にしてもらえたら嬉しいです。

 すこし感想を…

 やっぱり、具体的な事実を指摘しながらの解答を正面から求められている、設問1と設問3でいっぱい書けるかが勝負の分かれ目ですね。仮に設問4が正確にできていても、設問1や3での検討の分量が少ないと、良い評価はつきづらいと感じます。

 そして、設問1や3も、できるだけ論理的に記述していきたいところです。
 たとえば、設問1であれば、被害品の近接所持の法理を使うのかなって気づいたら、まず、小問⑴については、Aが所持する物件が被害品そのものであることを特定する段階であることを意識して論述し、その特定ができたことにより(被害品だ!って特定できないと被害品の近接所持の法理が使えないです)、小問⑵では、Aの所持が「被害品」の「近接」所持に当たること、その場合、経験則からAが被害品を持ち去った人物であることが推認されること(これが「Aが被害品を所持していた事実が重要であると考えた理由」です)を、他方、犯行時間・現場とAが発見された時間・場所とは時間的場所的離隔があるため、その間に、Aが犯人からリュックの譲渡を受けたり、犯人が落としたり捨てたりしたリュックを拾った可能性があること(これが「その事実のみでは不十分だと考えた理由」です)を、整理して書くことが大切です。自分の論述がどこをゴールにしているかを意識できるといいですね。でも、たくさん事実を拾おうとすると、頭がぐちゃぐちゃぐちゃになってきてしまうので、ぐちゃぐちゃになりがちの方は、練習しないといけないです。
 設問3でも、送致事実の強盗致傷がどうしたら公訴事実の窃盗と暴行に落ちるのかについて、どの構成要件要素が否定されると論理的にそのような結論になるのかを見切らないといけないです。そこを見切れないまま、たくさん事実を拾っても、どの構成要件要素を否定するための論述なのかが伝わりづらくなってしまいます。事実をたくさん拾う問題こそ、議論の大枠、論理的展開は意識して書きたいですね。
 お疲れ様でした。


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