旧ソ連出身の名だたる現代美術家、イリヤ・カバコフさんが逝去。茨城県北芸術祭で発表された「落ちてきた空」など日本で有名。

2023年5月28日 17:46

イリヤ・カバコフさん、著名なウクライナ出身の現代美術家が27日に亡くなったそうで、89歳でした。
その訃報は「イリヤ＆エミリア・カバコフ財団」のフェイスブックから発表されましたそうです。

カバコフさんは寓話的な作風で知られ、日本の芸術祭でも人気があり、茨城県北芸術祭で発表された「落ちてきた空」など、多数の作品を残しています。

ウクライナ生まれでモスクワ育ちのカバコフさんは、元々挿絵画家でしたが、1990年頃からニューヨークに拠点を移し、妻のエミリアさんと共に芸術活動を行っていました。

彼らの作品は日常生活や歴史を題材に、ユーモアと皮肉を込めた寓話的な立体作品が多く、ベネチア・ビエンナーレなどの国際展に出展する一方、水戸芸術館や森美術館、世田谷美術館でも個展を開催しました。

2008年には高松宮殿下記念世界文化賞も受賞しています。

カバコフ夫妻は昨年の大地の芸術祭では新作「手をたずさえる塔」を発表。

分断され、寛容さが失われつつある現代社会で、民族や宗教、文化を超えた平和や対話を表現した作品でした。

イリヤ・カバコフは、旧ソビエト連邦ウクライナ共和国ドニエプロペトロフスクで生まれ、アメリカで主に活動してました。
彼の幼少期は貧しく、アパートに住む俳優などの下宿人と共に生活していだそうです。

彼の絵画の才能は学生時代に早くも認められ、ユダヤ人の貧しい家庭環境を抜け出してモスクワの名門レニングラード美術学校に進学し、その後、家族は戦火を逃れるためにサマルカンドに疎開しました。

カバコフは約三十年間、モスクワで国家認定の芸術家として活動していて、彼の主な仕事は、絵本の挿絵を描くことでした。
しかし、この間にも彼は非公式の芸術活動を行い、ドミートリー・プリゴフらと共にモスクワ・コンセプチュアリズムのグループを結成して、アーティストとして様々な作品を世に残してきました。

ご冥福をお祈りします。

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