テレビやネットで話題になっている「日本のウォーレン・バフェット」と呼ばれる人物がいます。その人物とは、1936年（昭和11年）に兵庫県の貧しい農家に生まれたシゲルさんです。高校卒業後、ペットショップに勤めていたシゲルさんは、証券会社の役員と出会い、株の世界に足を踏み入れました。19歳で4つの銘柄を購入したのが、株式投資のスタートでした。それから68年、バブル崩壊で10億円の資産が2億円になったこともありましたが、今では18億円の資産を持ち、月6億円の売買をこなすデイトレーダーとして活躍しています。シゲルさんは、自分の生き方や投資法を隠さずに公開した本『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え　資産18億円を築いた「投資術」』（ダイヤモンド社）を出版しました。この本から一部を抜粋・編集して、シゲルさんがどのように転換社債に魅了され、専業投資家になったのかを紹介します。

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雀荘を手放した理由

シゲルさんは、雀荘を3店舗経営していましたが、1986年に6500万円で全て売却しました。その理由は、転換社債に出会ったからです。シゲルさんは、19歳で株を始めましたが、雀荘の経営に忙しく、株に多くの資金を回せませんでした。サラリーマンが小遣いで株をするようなものでした。しかし、投資の仲間だった中国人投資家から転換社債のことを教えてもらい、興味を持ちました。

転換社債とは、償還時には社債として扱われ、途中で株式に変えることができるものです。株価が上がれば利益が出ますし、下がっても額面通りに償還されるので、リスクが少ないのです。シゲルさんは、この転換社債の特性に惹かれました。

転換社債の活用法

転換社債は、マネーゲームにも使われることがありました。株式の場合、上場企業の株式を5％以上保有すると、大量保有報告書を提出する必要があります。しかし、転換社債は株式ではないので、このルールに引っかかりません。この点を利用したのが、「もの言う株主」として有名な村上世彰氏が率いる「村上ファンド」でした。

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村上ファンドは2005年、阪神電気鉄道（阪神電鉄）の転換社債をこっそりと買い占めました。阪神電鉄は、不動産や阪神タイガース、鉄道ネットワークなどを持っていましたが、株価は低迷していました。村上ファンドは、この会社の価値を高めるために、転換社債を株式に変えて、株主として発言力を持とうとしました。阪神電鉄は、村上ファンドの攻勢に対抗できず、阪急ホールディングス（現・阪急阪神ホールディングス）と経営統合することになりました。

シゲルさんは、村上さんが天才だと思っています。そして、転換社債のことを知っている人だけが、この出来事の面白さを理解できると言います。シゲルさん自身も、転換社債を株式に変えるときに出る「端株」に魅力を感じていました。端株とは、株式の単位に満たない株のことで、会社に終値で買い取ってもらえるものです。シゲルさんは、当時、転換社債から株式に変えられる銘柄が2000ほどあったことを覚えています。その中には、利益を得られるものがあったのです。

雀荘を売って得た資金

しかし、株式投資には、やはり資金が必要です。100万円を10倍にしたとしても、1000万円にしかなりません。シゲルさんは、転換社債に本格的に取り組むために、資金を工面する必要がありました。そこで思いついたのが、雀荘を売ることでした。シゲルさんの雀荘は、お客さんがたくさん来ていました。そのため、「ぜひ買いたい」と言う人がいたのです。シゲルさんは、雀荘3店舗を6500万円で一気に手放しました。

これが、シゲルさんが専業投資家になったきっかけでした。シゲルさんは、転換社債を中心に、株式投資を続けています。現在87歳のシゲルさんは、資産18億円を築き、月6億円の売買をこなす現役トレーダーです。シゲルさんの生き方や投資術に興味のある方は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え　資産18億円を築いた「投資術」』（ダイヤモンド社）をぜひ読んでみてください。

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※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え　資産18億円を築いた「投資術」』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。

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