スーパー歌舞伎Ⅱ 新版 オグリ 1/3

現在新橋演舞場にて上演されている、スーパー歌舞伎Ⅱ 「新版・オグリ」の感想です。 


はじめに。私は3代目市川猿之助のファンでして、古典もスーパー歌舞伎も3代目の頃から観ております。で、98年の3代目の「オグリ」も観てて、見終わった第一声が「もう一度観たい!巻き戻してもう一度見たい!」と。

で、4代目だし、スーパー歌舞伎のⅡであり、脚本も横内さんに変更ということで、期待半分、期待しすぎちゃいけないという気持ち半分。

で、観た結果、「もう一度観たい!!!!え、え、3階席に通い詰めたい!!

でも、やっぱり気になるところもある!もっと直せばいいのに!という思いが湧き上がってきて噴火しています!!この作品は面白い!でももっと面白くなる!!!


*大いにネタバレです。まだ未見の方はお気をつけ下さい

*興奮冷めやらぬまま称賛も批判も取り混ぜて書いています。一部かなり口の悪い表現もあるやもしれません。あくまで個人の感想です。

*関係者の方…目に触れることはないでしょうけど、どうか見ないで下さい。でもどうにかして届けこの思い!


1幕

 舞台上、2つの衣装。これは3代目の「オグリ」の衣装だね、懐かしい。

 冒頭、暗転すると鏡の舞台。後ろからゆっくりと近づく灯篭の光が近づいてくる。客席後方から客席通路を2つ使って、役者が舞台へ向かってくる。鏡に映る光と客席の光が幻想的で綺麗。役者がそばを通るので良い緊張感に包まれる。
 照手姫の花嫁行列。いきなり花びらが客席に降ってくる。これすごい。普通の舞台だと、最後の最後にやるのがセオリーなのに。今回盛り上げるために冒頭にやっちゃうなんて。でもこのおかげで一気に引き込まれるよ。足元に落ちてきた花びら拾っちゃった。

 小栗六人衆によって照手は連れてかれ、OP。音楽に合わせて人物紹介。「ワンピース」の時もあったけど、アニメOPみたいで、割と私は好き。てか、チラ見えして影になってしまう小栗判官がかっこいい。移動式のOGURIのパネルと六人衆の紹介もアニメ的演出。でもわかりやすい。

 小栗のアジト。小栗の一郎の一昔前のガリ勉キャラと、二郎のどっちつかずのタメ口キャラが私は受け付けない。六人キャラわけもっと気を使って欲しかった。滑ってる感あり、見ててちょっと恥ずかしい。キャラ設定が悪いのか、役者の実力が不足か。笑也さんの男女キャラもやや弱い。六郎はⅡ幕の項に後述。安心して観れるのが、猿也さんの五郎と福之助さんの四郎か。福之助さんのちゃんと基礎ができている安定感が安心できる。猿也さんは言わずもがな。

 で、ここで初めて小栗判官と照手姫出会い。ここでもうちょっと、二人の見染めが欲しかったな。お互いに惹かれ合うきっかけがちょっと弱い気がする。照手が惹かれるのは、まぁまだいいんだけどね。どうせ箱入り娘のお姫様だし。小栗判官は一応イケメンで今業平って設定だし。自分助けてくれて優しくされて、夢語られたら、ねぇ。さらっとバラの花プレゼントされてるし。世間知らずなら惚れても仕方ないかな、と。

 横山家で小栗モノ名物、暴れ馬の曲乗り。ここはなかなか盛り上がって、どの小栗モノでも私の好きなシーン。馬の造形がやたら気合入ってる。なんか強そう。で、「新・三国志」から恒例になってきた、殺陣の旗振り。今回、銀色の旗で、照明によって色が反射して染まって見えるから面白い。これは今後も色々な舞台でも使えそう。

 ちなみに、この時の小栗判官の衣装は好き。結い上げた髪に、力紙と狐忠信みたいな大きめの元結があって可愛い。

 無理やりやってきて横山パパと婚約者の前で小栗判官が好きですという照手姫。あ〜、横内さんのストレートすぎる現代的台詞回し来たよ。や、もう少しお姫様らしく「お慕いしております」とかさぁ。

 で、アジトにみんなで帰ってきたけど、小栗判官どうした?このシーンの衣装、全っ然似合わねぇ。総髪と部屋着っぽいガウンが似合わねぇ。さっきのまんまでいいじゃんよ。太って見えるし、服に着られてる感じ。唐突に照手に求婚するけど、いまいち惚れた瞬間とか、心を通わせる表現があってもいいんじゃないかなぁ。親分にかっさらわれた五郎がかわいそすぎ。歓喜の舞躍るけど、4代目、ややもすると照手姫より艶かしく踊ってしまっていて、男意識して!男!ってなる。

 小栗衆と判官殺した後の横山パッパの唐突な後悔。も少しね、描き方を丁寧にして欲しかった。

 カゴが流される照手のバックでドアップになる月。むしろアップにせずにずっと冴え冴えとしている方がよくない?


→2幕に続きます。


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