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イギリスのクリスマスと「くるみ割り人形」

note共同マガジン VACILANDO の企画記事 『どんなクリスマス?』をお届けします。クリスマスのお祝いの仕方は、国によって地域によって違っていて興味深いですね。それぞれの国のクリスマスの様子をお楽しみください。
今回の記事ではイギリスのクリスマスシーズンの象徴ともいえる「くるみ割り人形(The Nutcracker)」のバレエ公演にスポットを当てます。


くるみ割り人形(The Nutcracker)

イギリスのクリスマスシーズンの始まりを告げる伝統の一つに「くるみ割り人形」のバレエ公演があります。イギリス各地で上演される中でも、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスでの英国ロイヤル・バレエ団の公演は特に注目に値します。「これがなけりゃクリスマスじゃない('It wouldn't be Christmas without it’) 」といわれるほど、この公演は英国のクリスマス文化に深く根ざしています。
「これはぜひ生舞台を観ておかねば」と、大学院のクリスマス休暇を利用して、実際に観劇しにロンドンに向かいました。

ロイヤル・オペラ・ハウス

上演会場のロイヤル・オペラ・ハウスの建物は、それ自体が芸術作品のようで、エントランスを入ってすぐのカフェで軽食を取りながら、過去の演目で使用されたバレーコスチュームを眺めると、その華やかさに心が躍ります。

くるみ割り人形グッズ(左)と展示されているコスチューム

公演の前や合間にカフェやバーとして利用されているポール・ハムリン・ホールは、かつてフラワーマーケットとして使われていた場所で、その壮麗なガラス製の天井とエレガントなインテリアが印象的です。家族連れで賑わうこの空間は、クリスマスを家族で楽しむ文化を象徴しているようでした。
また、緑が多く配置されたリラックスした雰囲気の中でドリンクを楽しむことができるバーなど、ロイヤル・オペラ・ハウスでのバレエ鑑賞を一層豊かにする要素があちこちにあり、雰囲気を存分に楽しめます。

公演の前や合間に賑わうホール(左)とバー(右)

みどころ

「くるみ割り人形」の公演は、どのシーンも美しく、チャイコフスキーのメロディ、華やかなパ・ド・ドゥ、群舞、超絶技巧のキャラクターダンスなど、バレエの魅力が満載です。個人的に特に目を引くのが、ネズミの兵隊役のダンサーたち。彼ら彼女らは大きな被り物をかぶって、迫力満点の戦闘シーンを演じるのです。被り物はわりとリアルでありながらもオーバーサイズでコミカルな印象も同時に表現しているこのシーンは、「あの大きな被り物で激しい戦闘シーンを演じるのは、相当頭が重そうだし、バランスも大変そう…」と個人的にはなぜか気になってしまうポイントです。

公演後のカーテンコールでは、感動の瞬間がさらに際立ちます。この瞬間を目の当たりにすると、イギリスのクリスマスがどれほど特別なものであるかを改めて感じさせられます。お隣の席のご夫婦は、毎年ロイヤルの「くるみ割り人形」を観に来ているそうで、自分たちにとっては「'It wouldn't be Christmas without it’」な感じなのようねー、と話してくれました。

開演前の様子(左)とカーテンコール(右)

ロイヤル・オペラ・ハウスでの「くるみ割り人形」を体験することは、バレエ愛好家にとっても、初心者にとっても、忘れられない思い出になると思います!この記事を通じて、イギリスのクリスマスの様子を少しでも感じていただけたら幸いです。それでは、素敵なクリスマスシーズンを!



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