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糖尿病外来診察室で語るスイーツの話

日本の栄養士さんはどう教えているのだろうか?

管理栄養士さんは患者さんにスイーツについてどのように指導しているのでしょうか?昔、某メーカーからの依頼で3年間くらい、関東圏、北海道、北陸、中越、関西とSMBGの効果的な指導方法をグループディスカッションしながら学ぶセミナーの講師をして回ったことがあります。休憩で必ずケーキが出るセミナーだったので、参加した栄養士さんに「ケーキについて患者さんにどんな風に指導していますか?」と尋ねると、多くの栄養士さんは「すごく頑張ったときのご褒美として食べましょう」といった回答でした。日本の栄養士さんは本当に生真面目な指導をしているものだと思ったものでした。

ある日の診察室での対話を再現してみます


いつもご夫妻でお見えになるカップルがいます。ご主人は奥様から本当に愛されているのだと言うことがとても伝わってきます。

ある日の診察のとき、体重が少し増えていたことについて、ご本人が言いました。

「確かに最近、間食が増えているし、運動が不足していますね」

僕は尋ねました。

間食というのは一体どういう状況を指しているのですか?

例えば、我が家では多くの場合、毎晩、僕が珈琲を煎れます。そうすると、家内が「なにか甘いもの食べる?」と言って、チョコレートとかクッキーを持ってきます。例えば、昨日僕はローソンで「ピンクグレープフルーツの杏仁豆腐」というお菓子を2つ買って帰りました。家内がきっと喜んでくれそうな気がしたからです。アイス珈琲を煎れながら2人で杏仁豆腐を食べました(因みに糖質は20gでした)。

こういうとき、僕はお腹が空いたから杏仁豆腐を食べたのかというと、そうとも言えません。夫婦2人で甘いお菓子を食べることで「幸福な時間を共有したい」から食べたのだと思います。

こういう間食は幸福になるためのビタミンのような役割を果たしている訳で、糖尿病患者さんから、こうした楽しみまで奪うことはできません。むしろ、そうした時間を大切にして欲しいと僕は思います。

その代わり、あなたが仕事で営業に回っているとき、小腹が空いてきて、ひとりで焼き芋をほおばったり、菓子パンを食べたり・・、そういう間食は減らせたら良いと思っています。

結びの言葉

診察室でスイーツについて話すことはとても楽しい空気の中で行われるべきではないでしょうか?だって、ケーキを家族と食べるときって、ワクワクする瞬間ですよね。こういう体験は糖尿病を持ちながら生きている人たちにとって、とても大切な瞬間だと思うわけです。これからも患者さんのそうした素敵な体験を診察室で共有していきたいと思っています。

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