カスタマーマーケティングmeetup vol.3「事例は誰のもの? みんな大好き事例特集!」に行ってきた!
■イベント概要
日時:2019/10/28(月) 19:30〜
会場:株式会社SmartHR セミナールーム(六本木グランドタワー 8F)
詳細:https://eventregist.com/e/cmkt_vol3#_=_
イントロ
なぜカスタマーマーケティング?
カスタマーマーケティングを通じて既存ユーザーから新規ユーザーに波及させて行く部分が特に言語化されていない。
今回のテーマは「事例」
カスタマーサクセスとマーケティングの接点として一番に挙げられる手法、それが事例。事例は新規顧客獲得にも活用促進にも効く重要コンテンツ。でも事例制作の目的や制作に関するノウハウはあまり出回っていない(ように見える)
「導入事例グロースハッカー、公開オンボーディング」
登壇者:藤田 準さん(Smart HR社)
はじめに
なぜ導入事例が重要なのか?
先駆者の金言
平たく言うと、ユーザーがユーザーを呼びたくなるような仕組みづくり。
CSマーケテイングとは?
顧客の思いを声として言語化し、顧客の声を届ける仕組みをつくり、顧客の声を見込み顧客に客体化し、態度変容を促進すること。
必要なスキル、要素
・言語化→インタビュー力
・届ける仕組み→発信力・マーケティング力
・客体化→コピーライティング力
・態度変容→マーケティング
具体的にどうして行きたいか、導入事例施策の現状
具体的に出来ていること
制作フロー
制作フロー、記事質担保におけるこだわり
・担当CSMには必ず同席してもらうこと
・想定ストーリーをもとにした想定質問表を事前に送付
・クライアントには決裁者・担当者の双方に出席してもらう。決裁者だけだとビッグピクチャー寄りの話になりがちなため。読み手=決裁者だけではないことを意識してインタビューを実施、記事作成。
現状の課題
届ける仕組みが課題。
具体的な課題感
・事例ディレクトリのページ構成
・業界・企業規模毎の配信バランス
・営業・CSでの効果測定
事例ディレクトリのページ構成に関する課題
世の中の知見、他社の先行事例
専門家による研究
他社の例
Sansan:業種や規模などのナビゲーションを設置
ベルフェイス:検索フィルタや記事カードに企業概要を掲載
企画時の知見
・NPSなどを基準にインラビュー企業候補を選定
・プロカメラマンをアサインすると"ばえる"
インタビュー・執筆編集時の知見
・「〇〇と聞いて思い言う浮かぶキーワードを5つ教えて」と聞くと効果的なインタビューができる
・インタビュー内容の意図を汲み取ることが大事。
・タイトル、強調文字を追うだけでアウトラインがわかるような内容にする
改善のロードマップ
まとめ
What is Success Case?〜CSが事例をつくる理由〜
登壇者:青山 晴菜さん(Sansan社)
SansanのCSの歴史
CSのMission
顧客の成功に向けてSansanの価値を届け、LTV最大化を実現すること
Sansanのサクセス事例=Sansan Innovation Stories
制作背景にあった課題
導入事例が「既存顧客」に刺さらない。マーケターはリード獲得の為に事例を作っているため、そもそも目的が違っていた。
CSが事例をつくる理由
CSMはユーザーの深い話を聞き出せる・既存顧客に刺さるポイントを拾える。
例えば、、、
サクセス事例制作フロー
制作フロー全体像 ※グレー部分は外注しているところ
インタビューシートの中身
インタビューシートの設計が重要。
・ストーリーのテーマ
・セクションの見出し、小見出し
・各セクションでユーザーに聞きたいこと
・質問例
こだわりポイント
・経営者目線ではなく、現場担当が物語を語っていること。
「ユーザー個人」としての取組みを取り上げる
・ドラマ性がある物語である
・習慣の変化、業務フローの変化などInnovationが発生している
CSMに協力してもらうための取組み
・マニュアルの整備
・KPIの設定
・取材同行、進捗管理
作った事例の届け方=デリバリーチャネル
・ログイン画面
・オウンドメディア
・プロダクト画面
「サクセス事例」はだれのもの?
(もともとは)ユーザーの為のもの。今では営業のためのものにもなっている。
サクセス事例のOutcome1
サクセス事例のOutcome2
レベニューモデルの最終段階で、顧客の背中を押す際に役立っている。「クロージング」の効果的なコンテンツに。
導入事例とサクセス事例、それぞれの「制作目的」と「Outcome」の比較
LT① データを活用した事例量産の取組みについて
登壇者:杉浦 椋太さん(PLAID社)
事例とは?
プロダクト、セールス、CSの価値を最大化する上で非常に重要な武器の1つ
Sales観点での事例の価値
・リード獲得での活用
・商談での活用
CS観点での事例の価値
・ナレッジの提供
・アウトプット機会の提供
・リテンション、UP/Cross-sell
Product観点での事例の価値
・新たなProductの価値を発見、創出すること
事例の罠
時としてクライアントが本質を見失うきっかけになるリスクも有る。
事例量産の為にやったこと
スプレッドシートで事例が活用されそうな顧客の「想定課題」や「対象業界」毎に事例記事と制作進捗状況を管理。
LT②「CSとマーケで「一緒に」事例記事を作ったらみんなハッピーになった話」
登壇者:元田 有紀さん(スタメン社)
これまでの導入事例コンテンツ制作の進め方、体制
全てマーケで実施。
CSで感じていた課題
・事例インタビューに行くタイミング
・顧客が自信がなさそう
マーケ主導で全てやると目的が異なるためうまく行かない
どう変えたか?
コンテンツの整理と進め方(体制)の見直し
インタビュー時に大事にしたこと
・Productとの出会いから時系列で話してもらう様にした
・インタビューの時間を今後の活用に対して前向きにとらえてもらうための時間にするようにした
どうなったか
CS→顧客との信頼関係が構築、定性的な効果を実感できるように
マーケ→分業制にすることでコンテンツの作成工数が削減、かつ、質が向上
顧客→取り組みに対するモチベーションが向上
補足・CSとマーケの関係が良好な理由
相互に仕事の目標や進捗状況を把握・理解しあえているため。
TL③ 登壇者:大野さん(Repro社)
そもそも、事例は扱うヒトの主観によってその解釈や利用の目的が異なる。
対策として、扱うヒトの主観を”妄想”し、見せ方・見え方を織り込むことで全体最適を目指すべき
良い”妄想”とは何か?
※解像度高く利用シーンをイメージする、という話、と理解
誰の目線で”妄想”し、事例に落とし込むのか
パネルディスカッション
パネラー:ふじじゅんさん、青山さん
モデレーター:長橋さん
※画像は参加者アンケートの回答
テーマ①「現状、あなたの会社では事例は誰のためのものになっていると思いますか?
青山さん
リード向けの導入事例、既存向けのサクセス事例、両方作っているので、両方向け。
ふじじゅんさん
担当者向けの活用、アップセルを目的とした既存顧客向けの事例は必要だと考える。労務=コストセンターに費用を払うことは結構リスクを伴うことだと思う。導入事例を作ることで、社内の労務担当者がSmartHRを使っている意味を可視化して上げることは意義があることだと思う。
テーマ②「事例づくりの課題」
1)事例づくりの体制
青山さん
ライターとカメラマンを外注。質を担保するため、内容のチェックや赤入れは社内で実施。1Qに4本ほど制作。できるだけ同じライターに依頼するようにしている。プロダクト理解・顧客の刺さるポイントが蓄積されるため。インタビュアーのスキルに影響を受けないよう、CSMが同行してフォローするようにしている
ふじじゅんさん
社長含めた3人でユーザーインタビューを取りに行ったのが始まり。マーケだけだと内容に偏りがでるため、今年に入ったあたりからCSMと一緒に企画するようになった。外注することも考えたが、外部のライターだと教育コストがかかるため、結果的に文字起こし以外は内製している。月1〜2本ペースで制作していたが、現状リソースを割けておらず、2〜3ヶ月に1本程度になっている。担当者を採用できたため、月2〜3本ペースでUPしていきたい。
2)KPIの設定方法
青山さん
どれだけユーザーに読んでもらえているかを追求するため、PV数や直帰率等を今後は追求していく予定
ふじじゅん
事例ディレクトリ全体のUU数を増やして行きたい。また、ディレクトリ内での回遊率を高めて行きたい。現状1〜2記事しか見られていない。
3)顧客に協力してもらう方法
青山さん
結構難しいが、ユーザーに事例に出てもらうメリットをマニュアルにまとめているところ。導入事例とサクセス事例とで、同じユーザーにそれぞれインタビューをとりに行くことはある。内容は重複する部分もあるが、着地の目的が異なる。
ふじじゅんさん
最近は「事例に出たい」と言われることが増えてきた。ただ、今のところ顧客に明確にお返し出来るメリットが提供できているとは言えないので改善して行きたいところ。事例公開後のPV数や拡散状況、SNSの反応等はインタビュー依頼時に共有するようにしている。ユーザー向けイベント参加時のアンケートに「インタビューOKかどうか」を入れて、OKだったユーザーから優先的にアプローチをしたり、SlackでSmartHRでのエゴサチャンネルがあり、そこでSmartHRについて話している投稿を拾ってアプローチしたりもしている。
まとめ、感想
新卒で入った某広告会社で、入社当時、営業が受注時に「どういう効果が出れば合格ラインか」を顧客と握った上で、週次〜隔週くらいの頻度で効果実感のヒアリングを実施→効果が出ていなければ原稿改善の提案を、効果が出たらすぐに事例としてまとめて社内で共有、というサイクルをひたすら回していたのを思いだした。
インタビューする内容
やターゲットを事前にインタビューシートに落とし込み、顧客と事前に流れの摺合せを行ったうえでインタビューを行うのは、インタビューを行うにあたって間違いなく大切な準備のプロセスだとは思うけれど、その前の段階で、そもそも顧客が「自分はサクセス出来ている」と効果実感を持っている状態、聞きたい導入事例を好きな時に語ってくれるほどの信頼関係にある顧客のストックを持っている状態があれば、ネタにもインタビュー対象の選定にもそんなに困らないのではないだろうか。
某R社で「効果は創りに行くもの」と言われたのはそういう意味だったのかな、と10年越しに腹落ちした気がします。
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