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カワイイのはクチでした #8 アルパカのクチ

 アルパカといえば「ミラバケッソ」で一躍有名になった動物ですが、あのコマーシャルが成功を収めた理由は、私に言わせればアルパカのクチがカワイイから、に尽きます。パクパクと動く小さな可愛らしいクチからあのセリフが発せられた瞬間、えっ?と驚愕した視聴者は、必ずアルパカのω(すなわちクチとその周辺)を凝視してしまうに違いありません。そうなればもう…ええ…おわかりですね。
 アルパカは南米原産の家畜で、ペルーやボリビアの高原で放牧されており、日本では各地の動物園や那須アルパカ牧場などで見ることができます。その毛は保温性の良い最高級の素材で、さわると暖かくてフワンフワン。でも放っておくとどんどん生え続けるので、毎年、刈り取る必要があります。毛を刈られたアルパカは驚くほど細身で、なんとも間の抜けた、まるでシャンプー中のポメラニアンみたいな雰囲気になってしまいます。
 さて、この写真は栃木県那須のアルパカ牧場で撮影した二代目ミラバケッソの「タラキー」君。思わずなでまわしたくなるような素晴らしいクチまわりであります。まずこの鼻がいい。ミッシリとした短毛に覆われて柔らかな曲線を描く美しい鼻。そして正面から見るとまさしくωの形を描く上唇が、これまた上品な和毛に覆われていてたまりません。まるでよく手入れされた芝生のようです。
 というわけでアルパカのωは最高!なのですが、正直に白状しますと、クリクリの目とか、よく動く長い耳とかも、とても可愛いなあ、と思います。

このnoteは、2013年に新聞で配信したコラム(全12回)です。