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yes small, but strong.

忘れられない一言を言われました。

花の都、フィレンツェ。街散策もひと段落して、サンセットをみるために丘の上のミケランジェロ広場を目指す。16時半。日の入りは20時半頃の予定なので、まだまだたっぷり時間はある。

丘の途中にある庭園でひと休みすることにする。木陰に絶対にここで休みたいベンチを見つける。先約はいたが、ひとつ席が空いていたので迷わず座る。

この日は天気も良くて日差しも強かったので、この木陰が最高オブ最高だった。目の前のおじさまは読書をしているようだ。風でゆらゆら揺れる新緑の葉と、とキラキラ光る木漏れ日が気持ちいい。

さっきヴェッキオ橋で買ったお土産を広げる。

ピノキオのマグネットをふたつ買った。かわいい。鼻がほんとに取れちゃいそうな接着具合なところもなんか最高!フィレンツェはピノキオの作者の出身地らしい。(街中にピノキオのお土産が売られてたので気になって調べた)

ひとつは今北海道の僻地で頑張っている同期へのお土産。どうにか日本に戻るまで折れないでくれよ、鼻。

顔をあげたら、おじさんが女の子ふたりに変わっていた。

お土産を広げたり、写真を見返したりしていたら、いつの間にか1時間くらい経っていた。そろそろミケランジェロ広場を目指す。

なんか、

なんかなんか、

なんかなんか、凄くいいな!
春だなぁ!小春日和だなぁ!
花の都バンザイ!

花がいっぱいだよ〜咲いてるよ〜お日様の光浴びて気持ちよさそうだよ〜みんな芝生の上に寝転んだり、スケッチしたり、気持ちよさそうだよ〜芝生の上に自然と落ちてる花びらも撮影のセットみたいに美しいよ〜〜ぽかぽか天気だもんね〜〜なんか心地良すぎて自然とこんな話し方になっちゃうよ〜〜〜

広場に到着。(急に話し方戻る)結構のぼったなぁ。夕日も傾いて、影もこんなに伸びてきた。足長すぎじゃない?

18時。だいぶ夕方っぽい雰囲気になってきたけど、まだまだ時間があるのでミケランジェロ広場にある良い雰囲気のカフェに入る。入ってみたらカフェというよりレストランだった。一気に緊張。

テラス席の端っこに案内された。ドゥオーモが遠くに見渡せる。カフェラテを頼んだらクッキーが付いてきた。嬉しい。(このカフェラテがふわふわでほんとうに美味しかった!)

小鳥が遊びにきた。かわいい。(絶対クッキー狙ってるな、その目線)

そろそろ広場へ向かおう。

おじさまのTシャツと空の色が似ていてついつい撮っちゃったお気に入りの1枚。

みんなでサンセットを待つ。

バイオリン演奏に合わせて情熱的なダンスを繰り広げるガールズたち※曲は【Despacito】

日が沈む前の一瞬、視界がすべて橙色に染まる。

太陽が見えなくなった瞬間、沸き起こる歓声。

街へ降りる。見上げたら三日月。

丘を下って、川沿いを歩く。日が沈んだあと、空が蒼く染まる時間を"blue moment"と言うらしい。

この日はとても綺麗な蒼い空になった。その一瞬の儚さが美しすぎて橋の上で写真を撮る。

川沿いの灯りが水面にキラキラ映って綺麗だった。写真をパシャパシャ撮っていると、「写真撮ろうか?」と英語で話しかけられる。イタリア人の男性だった。

一人旅をしていると自分が写っている写真なんて滅多に無いので、喜んでニコニコ笑顔で「お願いします!!!!」と写真を撮ってもらう。交代で私も撮る。なぜかツーショットも撮ろうと言われ、2人で写真を撮る。

そのまま橋の上で立ち話になる。彼はミラノに住んでいて、今日はひとりでフィレンツェまで遊びに来たらしい。歳は32歳と言っていた。そのままバイバイして宿に戻ろうとしたら、「バーにでも行こう!」と誘われる。

今までニコニコでお喋りしていた私だが、その言葉で一気に警戒網を張る。「あ〜、宿のおじさんに22時までに帰ってきなさいって言われてるの!」とよく分からない嘘をつく。

「なら宿まで送るよ!」ととびっきりの笑顔で言われる。(え〜〜...絶対宿知られたく無い...)と思って断るが、はじめにニコニコ笑顔を見せてしまっていたので、何度「送らないで大丈夫!」と断っても強気でついてくる。

しょうがないのでそのまま宿の方へ向かう。ライトアップされたドゥオーモの前の広場を通る。オーケストラがレストランの前で演奏している。本当だったら立ち止まってゆっくり聴いて行きたいのに。只今の時刻21時54分。さっき22時までに帰らなきゃ!と嘘をついたので、そのまま泣く泣くオーケストラの前を通り過ぎる。普通に手をつないできて、側から見たらデートみたいになってる。えー。さりげなく振り解く。

宿の前は大きい通りから一本入った路地裏のような場所にあって(ふつうのアパートの一室)、そこの曲がり角で「ここで大丈夫!ありがとう!バイバイ!」と言って立ち去ろうとするも腕を掴まれる。

えーこわいこわいこわい。そういえばイタリア人男性は日本人は断らないと思ってナンパしてくるから注意、みたいな記事読んだなぁ。日本人女性はナンパに対して思わせぶりな態度をしやすい。みたいな記事を、今更思い出す。あーさっき声かけてきたとき私がめっちゃニコニコ話したからか...と一瞬冷静になる。

「ごめんもうほんとうにバイバイ!22時だから帰らねば!」みたいなことを何とか英語で言って、ダッシュで戻ろうとしたところ、25歳11ヶ月。イタリアで人生初の壁ドンをされる。

わー、壁ドンだー。と今の状況を客観的にみて冷静になってたら普通に胸を触ってこようとする。「待て!!!!小さいから!!!」と変な理由で止めようとするも、時すでに遅し。


「yes,small!but,strong!!!」


と何故か励まされる。えー...めっちゃ笑顔でyes!small!って言うじゃん...。胸がストロングって何...。

そのあとも一悶着あって、なんとかLINE交換だけで今日は帰ってくれることになった。あとでブロックしておこう。

今日はフィレンツェの美しい街並みと夕陽と花々に癒されたのに、最後に一気に疲れた。けど一応何事も無かったし(励まされたと同時になんか傷付いたけど)、ネタになるから良かったとしよう。さようなら、フランシスコ。たぶん、あなたに言われたあの一言を、私は一生忘れないだろう。


p.s. 後日返事を返さなかったらー20ポイントされました。


2019/6/7 Florence, Italy

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