見出し画像

未来へ


約5年間、就労支援に携わってきたがひと区切り。
自分の居場所について考えたここ1年半。
結局、職場を離れる決断をしたのだ。

就労支援。
言葉の通り、就職に関するありとあらゆることについて支援する事業所にカウンセラーとして勤務した。
この事業所を選んだのは、キャリアコンサルタントの資格を活かし、まずは経験を積めること、が理由だった。
カウンセリング未経験でもOK、資格取得が採用条件になっていた。

若年層(19歳以上)から39歳くらいを目安にしていた事業所だ。
結果的に言うならば、50代の人も担当したのだが。

区切りをつけたのでこの経験について記録として残したい。キャリアコンサルタントの資格を取得したけれど、どんな働き方があるか知りたいという方向けにも届けられるといいな。就労支援は比較的想像しやすいと思うのだけれど実際どんなこと行っているのか、についても可能な限り触れていこうと思う。


いきなりの小論文添削

退職が間近に迫っている人の後任で採用された。退職される方が担当していたクライアント、新規にご登録されるクライアント、ごくまれにリファーで引き継ぐクライアントがいた。

養成講座で学ばないけれど就活の現場で必要なことの一つに論文添削がある。論文そのものを書いた経験はほぼゼロ。作文も苦手。
小論文対策の本を読み、書き方については自助努力。この仕事にも自助努力は不可欠。最初からそれを経験したのだ。


この2冊を参考にしていた

・小論文のタイトルが事前にわかっている場合。
・事前に作成して郵送の場合。
・試験当日にタイトルが公開され作成する場合。

3番目の場合は、限られた時間で構成を考えなくてはならないし、文字を書くことが少なくなった今の時代、書く練習も必要だ(腕の体力、と話していた)。

添削全体を通して思ったことは、言葉の使い方、表現。言葉のセレクトは難しい。
日常会話で言葉の意味を正しく理解したうえで使っていることが少ないということだろうか。

言葉

小論文添削だけではなく、志望動機・自己PRでも自己表現のために言葉を使う。これがまた厄介。
厄介だと思うのは、先ほど書いた通り言葉の意味を正しく理解したうえで使用しているか。文章を繰り返し読みなおし推察すると、意味を間違って理解していると気づく。
間違って理解しているのは感情表現も同じだ。
繰り返し繰り返し、しつこいくらいに質問を重ね、「あなたが伝えたいことはこの言葉で表現できているのか」を問うた。時には、意味を検索しパソコン画面を共有しながら理解してもらう。使用している言葉は強すぎないか(特にマイナスな印象を残すもの)、については表現を変えられないか検討する。クライアントと会話を重ねながら、書いた言葉を修正するのかどうか検討する。

自己分析

自分を表現することが難しいんだ、と数多く面談する中で感じたこと。人生の中で自分を見つめる機会が少ないからかもしれない。
新卒のタイミング、転職のタイミング。このタイミングで自分を知る機会=自己分析をする機会を得る人が多い。
若年層にお勧めしているのはライフラインチャート(モチベーションチャート)。
ポイントは

・満足度、不満足度が目で見える

これがわかりやすくてよい

さらに言うなら

・過去を振り返ることができる
・なぜ満足度が高かったか、低かったか
・満足度が上昇、もしくは下降するときの共通点は何か

を知る手掛かりになる

ほかに使用しているのは、
・興味
・長所、短所

をまとめられるシート

若年層のクライアントさんに
・ライフラインチャート
・興味
・長所、短所
の3種類で自己分析を進めてもらった。
記載してもらうだけではなく、内容について質問を重ねる。
ライフラインチャートを見ながらの質問を丁寧に行うと、のちの興味シート、長所・短所シートは比較的進みが早い。ライフラインチャートで話を聞いている内容につながっていることが記載されているからだ。

それがわかって以降は、自己分析を行う際はライフラインチャートを念入りに行うようにした。大切なことは、それをもとに話を丁寧に聞いていくこと、だ。
書いて終わり、では自分の記憶のみで終わってしまう。
人間は質問すると答えを探し出すそうだ。
すべてを思い出すわけではないけれど、終了後にやってみた感想を聞くと忘れていたことを思い出した、と伝えてくれるクライアントが多い。それが自己分析のキーになることもある。

面接対策

面接練習の前の対策、必ずやる、というよりは必要に応じて行う。
私から話していたのは、苦手な質問は準備をするといいよ、ということ。
例えば、退職理由、休職理由、中途退学理由。
経験でいうと、この3つは答えづらい、という人が多かった。
事実をどのように話すのか。
ここでも言葉の選択がポイントになる。

面接の種類(web面接、対面)によって準備する内容が異なるのだ。
詳しくは「面接スキル」に書いているのでそちらを参照してくださいませ。

面接練習

面接練習をやる、やらないはクライアントが決める。
私から提案することももちろんある。
話すことを苦手とする、緊張しやすい、何を話したらいいのかわからない。面談の際にその言葉をいうクライアントには提案をする。
苦手なことほど場数を踏むことは必要。

面接で何を質問されるかは企業様による。
履歴書・職務経歴書等に記載した内容については「ご自身が書いた内容なので自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう」と伝えている。

面接は特に「不安」を口にする人が多い。
その不安は、自分で払しょくできるものかできないものか。
採用されるかどうか、は当然後半に入る。
自分で払しょくできる不安は対策して準備しましょう、とお伝え。

web面接

振り返ると


採用面接のときに「多様な方々が来られますが大丈夫ですか」
と聞かれたことを今も覚えている。
大丈夫と答え、対応してきたからこそ今がある。

新卒学生、転職者、中途退学者、長く仕事をしてこなかった人。

その時その時で私がもてる力を注いできた。時には先輩カウンセラーの知見を頼りながら。クライアントから勇気をもらってきたことも多い。

新卒学生とはA4コピー用紙1枚に収める自己PRを一緒に考えることもあった。プレゼン時間は1分間。その人らしさを存分に伝えられるよう、アイディアを膨らましていく。自由な発想でプレゼンする楽しさをクライアントを通して感じることもできた。喜びの報告、悲しみの報告を受け、それも見守ってきた。

就職への一歩が踏み出せない方も少なからずいた。
定期的に面談が入るので、就職に対する思いがあることは見て取れていた。せかすことなく、クライアントのペースでお手伝いをしてきた。就職への一歩を踏み出せたときは心の中でガッツポーズ。
踏み出せたことが本当に大きな一歩だと思ったからだ。

クライアントからは就職採否報告だけでなくこんな話しもお伺いできた。

・様々な話を聞いていただき、〇〇さんがいたから社会とつながれたように思うし、少しずつ前に進めた
・(引きこもりかけた時に〇〇さんからの声掛けで)外に出られた。命の恩人
・有料でも○○さんに担当してもらいたい


印象深く残るクライアントが本当に多くいる。多様な方々と就職を通して知り合うことができたことには感謝しかない。
就職支援は初めての仕事だったけれど、前職の数多くの経験が役立ったことは言うまでもない。
この仕事の経験もきっとどこかで誰かの役に立つ
そう信じて一端の区切りとした。

#就労支援
#キャリア
#キャリアコンサルタント
#キャリアコンサルタントの仕事
#小論文
#添削





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?