不正請求の種類と見極め③
過去の整骨院シリーズ
序章:整骨院の売上構成
第1章:不正請求の種類と見極め①
不正請求の種類と見極め②
※専門用語が出てきた場合、過去のどの記事に乗ってるかを“※①”のような形で補足します。
【影響力】★★★★★ ★★★★★
◇保険請求売上⑵-2
前回は具体的な用語や数字の説明を入れて、主に“※②部位転がし”による請求額の底上げ部分としての話を長々とさせて頂きました。その中で話を途中で切った“負担金”と“来院日数”というのをテーマに書いていきます。
○一部負担金
保険診療機関を利用した場合、治療費の満額支払いではなく年齢や所得に応じた“一部負担金”として窓口で支払う方が殆どだと思います。そして整骨院でも※①償還払いではなく※①受領委任の形をとる所が殆どですので、保険診療時には必ず一部負担金を支払う形式になっています。
そして前回の記事でチラッと話が出ましたが、この「一部負担金額がずっと変わらないのは何故か?」という答えとして上げた2つのやり方
・予め多い目の負担金を設定している
・月末のレセプト作業時に、適当なタイミングの日に後付けで部位転がしをしている
これらの説明をしていきたいと思います。
まず多い目に貰うについてですが、※②回答書対策としては引っかかりますが、これに関しては全く問題ありません。多い分は“自由診療(実費施術)”、つまり“技術代”として頂いているという形であれば問題ありません。
問題は少ない額やキリのいい数字、多い例であれば100円とかいった額でしょうか。この辺りの額で言うと、おそらく支払額が請求内容に対して少なくなります。かなりの頻度で通うとなると別ですが、週2ぐらいのペースの方だと間違いなく少なくなります。
そして少なく負担金を設定してる院の特徴として
領収書の発行を怠っている
これが多いです。
現在整骨院では毎診療ごとに領収書を発行する事が義務付けられています。ですが、少なく設定している院ですと、レセプト作業時に部位転がしを行うことで実際払った金額とのズレが発生します。ではそういう院の領収書対策をどうしているかと言うと
ひと月分をまとめて領収書として発行する。しかも手書きで
このやり方が多いです。そして実際、10円単位のズレなども「請求上発生する誤差」というゴリ押しで納得させる所もありました。
ただし少額になるような設定にしている院というのはホントに昔に存在していただけで、今では都市伝説級の愚行だと思ってたんですが…
まだやってる所があると聞きました…
ある意味凄い根性だと思います。こういう所はしっかりと潰れて欲しいものですね。
○来院日数
負担金の悪質な例というのは今はほんの一部ですが、来院日数に関して言うと今でもよく引っかかる整骨院はあります。
以前の記事に書いた整骨院の売上構成の中に「総来院数=カルテ枚数×リピート率」という式を出しましたが、来院日数はリピート率の底上げの数字となります。
そして悪質な整骨院の場合
この来院日数を勝手に増やしたり、変更したりします
増やす分には分かりやすいと思いますが、単純に総来院数の底上げのためです。
では来た日を変更とはどういった意味があるかというと、※②罨法・電療料などの怪我した日から初めて治療を受ける日にちで変動する額を調整することで、僅かですが売上の増額が出来ます。
しかし、もしその患者さんが他所の整骨院に通っていた場合、日にちの変更や来院数の水増しをしてしまうと、他所の院と請求日が重なってしまう可能性があります。
補足ですが、個人が整骨院での保険診療を受けることが出来る回数は、1日1回です。
ここで整骨院に通われたことのある方に質問があります。
その整骨院で、次のようなニュアンスの言葉を言われたことはありますか?
「今月はウチ以外の整骨院は行かないでください。」
説明に関しては院によって変わるでしょうが、“請求する上での不具合が起きないように“ という感じが多いでしょうか?
実際、働き始めの頃のボクはただの鍼灸師だったので、柔整師のやり方に疑問を持つことなく、来られた患者さんに似たような説明を上から言われるがまましていましたが…
これ、間違いです
同じ月に複数の整骨院に通うということは別に制限されておりません。そして、この事実を意外と柔整師自身が勘違いしてる事もあります。
ただ同時に通っている所がある場合、困ることが多々あるのは事実です。請求箇所が重なった時など、その請求が丸々通らないなんて事もありますからね。
もしどうしても2つ以上通いたい場合は、通っている整骨院に何処に通っているかをしっかり伝えてください。そうすればお互いの整骨院同士で請求が被らないように怪我の部位を調整するということも可能ですので。
○見極め
負担金や来院日数に関する取り組みをしっかり行っているかの判断としては
領収書を毎回発行しているか
これに限ると思います。
領収書の発行は義務とされているので発行していない時点でアウトですが、毎回発行している院に関してはは上記した勝手な水増しなどはしていないと思います。
もししてしまうと1発で患者さん側に伝わってしまいますからね。
さて、如何でしたでしょうか?通われている整骨院に何か共通する部分はありましたでしょうか?
もし分からないことや質問等がありましたら、御遠慮なくコメントまたはTwitterのDMなどにご連絡下さい。
次回は
自賠責保険(交通事故)
に関する話をします。
日常生活の知識としてはこの回が1番役に立つと思いますので、どうぞお楽しみにして下さい。
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