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既存の枠組みを超えた異形なるロック・ミュージックの誕生

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ロック史において、1969年は、非常に話題性に富む特別な年となりました。

それを最も象徴する出来事は、やはり約40万人を集客したウッドストックに代表される大規模な野外フェスティバルの開催でした。

また、この年は、異なるバンドの大物ミュージシャン同士が新たにバンドを結成するいわゆるスーパー・バンドの結成も相次ぎました。

こうした大きな出来事の背景には、60年代後半に掛けてロック・ミュージックがジャンルの多様化や機材の発達などで音楽的な可能性を広げる中、社会からの解放を謳う思想的な潮流とも重なり、多くのベビーブーマー世代から強く支持されたことが挙げられます。

そう、ロックは、社会現象化して一つのピークを迎えていたのです。

今日、ご紹介するバンドは、そのような状況下でデビューを果たしており、ロック・ミュージックに他ジャンルの音楽性を配合させ、既存の枠組みを超えた、まさに異型のスタイルが特徴です。

彼らの創造性に満ちたロックは、シーンに対して60年代の終わりと70年代の始まりを同時に宣告し、同ジャンルをネクストステージへと導いていくこととなりました。

『Led Zeppelin』/Led Zeppelin(1969)
作品評価★★★★(4stars)

70年代におけるブリティッシュ・ロックの頂点に君臨したこのグループは、スーパー・バンドの結成を企むセッションマン/ギタリストによる構想の頓挫から生まれている。

しかしながら、ツェッペリンが持つそのオルタナティヴな潜在力は、ペイジの当初の想像を上回り、そして、慣習的なブルースとフォークの型をも斜め上に超えてしまった。

ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの出発点の1つでもある今作1stは、賛否が分かれるであろうタテノリなエモーショナルも存分に炸裂されているが、彼らのディスコグラフィーにおいて実は最もポップな仕上がりとなっている。

『In the Court of the Crimson King』/King Crimson(1969)
作品評価★★★★☆(4.5stars)

プログレッシブ・ロックの扉は、「21st Century Schizoid Man」と題されたロック史において最も衝撃的かつドラマティックな楽曲の一つによって開かれた。

アイランドからリリースされたキング・クリムゾンの処女作は、ギタリスト/フリップとキーボーディスト/マクドナルドら(背後にいる詩人や画家含め)の表現力によって異様な構築性のあるレコードとなった。

今作以降、バンドは、メンバーの相次ぐ入れ替わりから暫く停滞したが、"Confusion will be my epitaph"というショッキングなフレーズに代表されるように、現実を震撼させる力がロック・ミュージックにもあると示してみせたのである。

『Crosby, Stills & Nash』/Crosby, Stills & Nash(1969)
作品評価★★★★(4stars)

ウエスト・コーストで結成された3人組の彼らは、スーパーグループ・ブームの船出を切り、フォーク・ロックにおける新たな文体となった特別なハーモニーやアンサンブルをシーンへと届けた。

アトランティックから発表された今作1stは、スティルスによる卓越した構成力やギター・アプローチを軸に、クロスビーの魅惑的な世界観やナッシュのラジオ・フレンドリーな雰囲気が交わる仕上がりとなった。

クロスビー・スティルス・アンド・ナッシュが収めた成功によってカルフォルニア・サウンドは、一時代を築く黄金時代を迎えていく。そして、それは、やがてクラシック・ロックとして愛されていくのであった。

『Santana』/Santana(1969)
作品評価★★★★(4stars)

ウッドストック期、異色のグループが犇めき合うサンフランシスコ・サウンド勢においてインパクトを与えたバンドを挙げるとするならば、やはり彼らであろう。

メキシコ出身ギタリストが牽引するサンタナは、サイケデリックなブルース/ジャズ・ロックに対し、2組のコンガ/パーカッション奏者によるポリリズムを導入し、ラテン・ロックなるものを生み出した。

ウッドストック・フェスティバルの主役であったジミ・ヘンドリックスも驚かせたカルロス・サンタナは、次作においてそのプレイ・スタイルや世界観を色濃くし、大きなセールスも記録した快作を放ってみせた。


それでは、今日ご紹介したアルバムの中から筆者が最も印象的だった楽曲を!


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