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ビートルズから発表されたロック史における最重要アルバムとロック・シーンに最も衝撃を与えたジミ・ヘンドリクスの登場

©English Wikipedia

ロック・ミュージックは、1966年から1967年に掛け、その歴史において最も重要な時期を迎える事となりました。それを象徴する形となったのは、2枚のアルバムと2人のギタリストでした。

2枚のアルバムとは、ビーチ・ボーイズから投げ掛けられた『ペット・サウンズ』という名の実験的なアルバムと、同作に影響を受けたビートルズから放たれた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』と名付けられたコンセプト・アルバムです。

そして、2人のギタリストとは、フラワー・ムーヴメント期における時代の寵児であるジミ・ヘンドリクスと、ブルース・ロック・ブーム期におけるその申し子であるエリック・クラプトンです。

そのような大きな流れを汲みながらロック・シーンは、ロック史における最も重要なアーティスト/バンド達が出揃いつつあり、そのクオリティの高い作品群から一つのピークを迎える事となりました。

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』/The Beatles(1967)

作品評価★★★★★(5stars)

アイドルとロックンロール・バンドの役目を終えた四人組の青年達が8枚目のアルバムにおいてプロデューサー/ジョージ・マーティンと共に試みたのは、ポップ・ミュージックの一形態であるロックをモダン・アートの水準へと高めていく事であった。

いわゆるコンセプト・アルバムとなった今作は、彼らが架空の楽団に扮して展開され、バロック音楽からインド古典音楽までと、音楽性は多様性に溢れ、サイケデリックな効果が施されたその世界観は、目まぐるしい万華鏡のようである。

ビートルズは、大衆文化のルーツ/ミュージック・ホールにまで遡り、そこへカウンター・カルチャーのアプローチを重ね合わせ、今作を20世紀における文化遺産として上梓した。そして、それは、ロック・ミュージックにおける1つの完成形として現在もなお君臨し続けている。

『Pet Sounds』/The Beach Boys(1966)

作品評価★★★★☆(4.5stars)

ハードな興行に追われていた人気グループの悩める一人の青年が突如発表した今作は、それまで誰も想像し得なかった既存のポップ・ミュージックの枠組みを超えたものであった。

作家ブライアン・ウィルソンは、自身に潜んでいた内省的な文学性を打ち明け、数多くの熟練スタジオ・ミュージシャン達によるオーケストレーションを拝借しつつ、豊潤な虚構世界を創り上げた。

後に20Cの名盤と呼ばれる今作を戸惑いの中で残す事となったビーチ・ボーイズは、その代償か、シーンの一線から徐々に遠ざかっていく。しかしながら同作の影響力は、近年のオルタナ/インディ世代にまで及んでおり、現在もなお現代アメリカの光と影を描写し続けている。

『Are You Experienced』/The Jimi Hendrix Experience(1967)

作品評価★★★★☆(4.5stars)

ロック・シーンにおいて最も衝撃的なデビューを飾った者達は、やはりこの怪物が率いるバンドに他ならないだろう。英TV番組「Ready Steady Go!」の最終回で突如現れた彼らは、その翌年、満を持して米モンタレー・ポップ・フェスティバルへ投下される事となった。

セッション・ギタリストを経て渡英した革命児による処女作は、その特徴である強烈なリフや独創的なインプロヴィゼーションが既に発揮され、バックを務める英国人2人のプレイ・スタイル含め、まさにオルタナティヴなブルース・ロックが鳴り響いている。

ジミ・ヘンドリックスは、あまりに破天荒なパフォーマンスがその後の悲劇的な未来を暗示していたが、ジミヘンが持つ創造性の多くは、エクスペリエンス期に遺した3枚でもはや覚醒していた。そして、その後のシーンにおいて彼らを上回るハード・ロックが産み出される事もなかった。

『Fresh Cream』/Cream(1967)

作品評価★★★★(4stars)

ジョン・メイオールらが率いる伝統主義的な古典派に背を向けたエリック・クラプトンが次に向かった先は、これまでにない音量のサウンドと即興演奏によって現行のブルース・ロックから逸脱するスタイルであった。

話題性を集めたこのギター・トリオによる1stは、メイン・ソングライターによって描かれた奇妙な世界観に、クラプトン特有のエモーショナルなフレーズが絡まり合う独特な1枚に仕上がった。

クリームの魅力は、互いの衝突から生まれる緊張感のあるセッションだが、 彼らもまたその報いとして短命に終わった。しかし、勢いを持つこのバンドから生み出された3枚のアルバムは、実質ライバル関係にあったエクスペリエンス同様、ハード・ロックの可能性を既に突き詰めていた。

それでは、最後に、今日ご紹介したアルバムの中から一曲を!
まさにオール・タイム・ベストな一曲に数えられるであろう名曲です♪




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