ま。のレンズ越しの世界

レンズを通すといつもよりちょっとだけ輝いて見える私の世界。 なんでも言語化したい人。…

ま。のレンズ越しの世界

レンズを通すといつもよりちょっとだけ輝いて見える私の世界。 なんでも言語化したい人。旅人。写真家見習い。

最近の記事

私流 知らない町の歩き方

21年間、趣味を聞かれるたびにごまかしてきた。 映画とか読書とか音楽とか。当たり障りのないことを言うけれど、深堀されてもそれ以上特に話すことはない。 写真を始めて少し趣味らしいものができたが、逆に変に熱中してしまったせいで、周りに素敵な写真を撮る方がたくさんいる中で「趣味は写真です」なんてなかなか言えなかった。 留学中に旅行をするようになった。旅行は好きだけれど、「趣味は旅行です」なんてなんか高尚な感じ。 それにこれを言っては元も子もないが、そもそも私はあまり芸術や建

    • レンズを通して見るとちょっとだけ輝いて見える、大嫌いで大好きなあの町の日常。

      ヨルダンで5か月暮らした。 初めて降り立った時、町は驚きにあふれていた。 空港で私を乗せたタクシーは、砂漠の真ん中の砂嵐が吹き荒れる道を、クラクションを鳴らしながら、交通ルールなど知らないとばかりに周りの車の間を縫って進んだ。 私のお家は町全体を見渡せる丘の上にあるアパートで、エントランスの前ではかわいい猫が昼寝をしていた。 タクシーを降りると親子連れが、私には理解できない言葉でニコニコしながら何か話しかけてきた。 目新しいものばかりに囲まれてドキドキしながらも、な

      • 私たちは海を通してつながっている。

        海の見える街で生まれたからか、海を見ると安心する。 波の音に心が洗われて、空の色に合わせて移り変わる海の表情に見入っていると、時がたつのを忘れている。 ピンク色の夕焼けに染まった海に浮かぶ世界遺産の町は、夢と見紛うほどの景色だった。 ずっとこの時間が続けばいいのにと思う反面、一秒一秒変わり続ける空と海が、この後見せてくれる表情を楽しみにしている自分もいた。 遠く離れていても、海は故郷とのつながりを感じさせてくれる。 海は果てしなく思えるけれど有限で、この海を泳いでい

        • どこへ続いていても、大丈夫。

          どこまでも続くようにも、すぐそこで途切れるようにも見える一本道。眼下に広がる町を眺めながら歩く。 空に近いこの丘の上から見渡すと美しく見えるこの白い町も、ここに暮らす人々にとっては日常に過ぎない。 今日もこの町で誰かが笑い、誰かが泣き、誰かが生まれ、誰かが星になる。 見上げれば、吸い込まれそうなほど青い空。振り向くと大きな白い鳥が優雅に飛んでいた。 あの鳥はどこへ行くのだろう。 私はどこへ向かうのだろう。 そんなことを思っても答えは出ないまま、鳥は遠くへ飛び去って

        私流 知らない町の歩き方