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【思い出】伝統と現代の融合『KOUGEI EXPO IN FUKUOKA』に行ってきました。

2018年11月2日、金曜日。

ぼくはマリンメッセ福岡で開催されていた『KOUGEI EXPO IN FUKUOKA』に行ってきました。

本イベントは博多織、博多人形、久留米絣、小石原焼、上野焼、八女福島仏壇、八女提灯などといった日本が世界に誇るべき伝統工芸品の数々が11月2日(金)から4日(日)の3日間、一挙に集結していたもの。

イベントでは「新しい“KOUGEI”の世界を感じる3日間」をテーマに、広大な広さを誇る会場全体を使うというスケールの大きな展示もさることながら、現代のクリエイター、有名セレクトショップとコラボするという伝統工芸品も注目されていました。

伝統と現代の融合によって生まれた、歴史が感じられてなおかつ全く新しい世界観。ここに収めてきた写真とともに記録したいと思います。

11月2日、金曜日。文化の日を前日に控えた今日、ぼくはマリンメッセ福岡に足を運んでいました。快晴で少し暖かさも感じる中、天神から海沿いを渡り歩くこと30分。巨大な建物の中に入場します。

会場ではまず、ハカタオフクたちが綺麗に正座してお出迎えしてくれていました。この可愛いらしい人形たちは、福岡を代表する伝統工芸品である「博多人形」と、福岡にゆかりのある企業とがコラボした企画で、九州産業大学の学生たちが福を呼ぶ縁起物の「お福さん」をイメージしてデザインし、それを職人たちが絵付けをして誕生したもの。普段は天神周辺に散らばっているらしいのですが、イベントを機に一斉に集合してくれています。食事している人もいて、可愛いです。

内部に入ると、中央に荘厳と佇むように福岡に馴染みのある立派な作品が置いてあります。夏の福岡といえば、"オイサオイサ"というあの山笠で使われる飾り山です。福岡のKOUGEI EXPOらしさを体験できるようにと、特別に展示されていました。毎年夏にいくつかの商業施設で拝見して圧倒されるのですが、ここにいると工芸品の中でもボス感があり、さらに迫力が際立ちます。

会場では、飾り山を中心に様々な伝統のお品がたくさん展示されています。

ぼくは南福岡に住んでいるのですが、普段親しみのある久留米や八女、大川などの地域のお品がこうやって燦然ときらめき合うところを見ると、地元のエリアは知らないだけで長いカルチャーが根付いている地域なんだなと知りました。子供の頃は退屈そうに見ていたお品たちですが、立派に並べられている姿を見て少しだけ趣が分かったような気がします。

話題となっていたのがこちらのクリエイターズ・コラボのブース。第35回目の開催となり福岡の大会では30年ぶりとなる本大会では、クリエイターと福岡の伝統工芸品が奏でるコラボレーションのもと、個性的な7作品が展示されています。

「SOPH.」の清永浩史さんによるパーソナルかつ実験的なショップ「KIYONAGA&CO.」さんと久留米絣がコラボしたもの。お洋服、スマホケースとある中サッカーボールまで久留米絣が施されており、持ってみるとボールのフォルムをしているのですが触り心地が久留米絣特有のザラザラした感触でユニークなお品だと感じました。

先日開催された天神全体で音楽を奏でるイベント「MUSIC CITY TENJIN 2018」でも作品が使用された、国内を飛び越えアジアにまで活動の幅を広げているグラフィックアーティスト「WOK22」さんと小石原焼がコラボしたお品。歪な形を作り出す小石原焼に「WOK22」さんの得意とするエッジの効いた和のデザインがマッチしていて、きれきれの工芸品となっていました。

読者モデルやプロデュース業で活躍されている西本早希さんと上野焼のコラボレーションアイテム。淡い色合いで、歴史ある焼き物の中にポップな現代らしさも抑えられた、可愛らしい器となっていました。

世界的な注目を集める墨絵アーティスト西元祐貴さんと八女提灯のコラボ作品。提灯の大きさ自体も迫力がありますが、轟を与える墨絵がさらに迫力を増やしています。

太宰府天満宮での展覧会でもお馴染みの世界を代表するフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンさんと博多人形のコラボ。睨みを利かせている博多人形がSF映画に出てくるような、どこか違う星に降りたっているようで幻想的な世界観でした。

BEAMSさんの日本をキーワードに、幅広いカテゴリーのコンテンツをキュレーションするプロジェクト「BEAMS JAPAN」さんと博多織の作品。博多織の和のデザインと合わせたキャラメル色のレザーの掛けるところが良さげです。

著名なジュエリーデザイナー長幡辰男さんと八女福島仏壇のコラボ。小さな粒ほどの中に光るものがありました。

このほかにも、会場では伝統と現代の価値観を照らし合わせた、驚きや感動がたくさん用意されていました。

こちらはショートヘアーに凛とした美しい顔立ちで、今や全国にファンをかかえている福岡の女の子と言えばの『KYNEgirl』と、全世界で愛されるムーミン谷の妖精、ムーミンの人形です。

作られたのは博多人形師の松尾吉将さんという方で、伝統アートである博多人形の魅力を伝えようと若い人にも親しまれるような作品を提案している職人さんです。

「KYNE×博多人形」の存在自体は知っていたのですが実際に見てみるとふっくらな3Dになっている驚きと、シンプルなグラフィックという応用性から伝統工芸でもキュートな表情が作られていて、忠実に再現している職人さんと元絵を手がけられているKYNEさんはやはりすごいなと思いました。

博多人形って『KYNEgirl』さんはもちろん、他の女性も表情豊かな作りになっていて可愛いですね。

こちらは博多にわかのお面を模した巨大な博多織。結構取るのが難しそうなUFOキャッチャーも横に置いてありました。小物は多彩なカラバリもあって可愛いらしかったです。

壁際には一面に敷き詰められた博多織の壁も。博多織は1241年から今年で777周年を迎えるそうで、その歴史が感じられるデザインが整列した絢爛豪華さは圧巻でした。

博多織などの原料となる絹糸を作ってくれる蚕、はじめてみました。保湿を保つために室外機の待遇もされており、むしゃむしゃ草を食べていて可愛かったです。

長い歴史の中で培われてきた作品の数々が一斉にお目見えした本イベント。何百年との記載をたくさん見て麻痺しているところがありますが、歴史の教科書に出てくるような軌跡の中で伝統工芸が今も受け継がれているのは、やはり時代を超えてもそれ自体に魅力があるからということが何となく気付かされた一日でした。

会場ではご高齢の人々が多いと思っていましたが、若い人たちの姿も結構見え、伝統工芸品の魅力の前では年齢の幅は感じられなかったと言えます。

クリエイター、職人、作家などなど言い方はたくさんありますが、今も昔も何かを作り出す人の考える姿はかっこいいですし、作品を通して感動させてくれるエンターテイナーだと、深く再確認しました。そう気付かされた今回は感謝です。

(大坪 磨亜久)

【KOUGEI EXPO IN FUKUOKA】
開催日時:
11月2日(金)11:00~18:00
11月3日(土)10:00~18:00
11月4日(日)10:00~16:00
会場:マリンメッセ福岡
(福岡県福岡市博多区沖浜町7−1)
※入場無料