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新たな時代へ向けてしばしの休息を『幕間_まくあい_』

今年2019年の4月から5月にかけては、みんな何かとそわそわしている月日だったと思う。熱心な予想ゲームが繰り広げられる中、ほとんどの人が外したという新たな時代の名前。ハッシュタグ「#平静最後の〇〇」の追い込みのバーゲンセール。また年末年始がやってきたかと思うほどの深夜零時の直前のカウントダウンと直後の特番番組。

とにかくぼくらは少年少女のように落ち着きがなかっただろう。さらに今度はそのそわそわ心に拍車をかけるように、滅多にないといわれている十連休もそろそろ終わりをむかえようとしているときた。(もう他人に感謝なんていってられない)

なんだかいまのぼくたちには、しばしの休息の時間が必要だと思う――。そんななか、福岡・八女の旧八女郡役所さんでは4月29日(月)から5月8日(水)まで、合同展『幕間_まくあい_』が開催されていた。

本イベントは八女・筑後での旅を経た「emic:etic」さん、「Tabrik」さん、「宝島染工」さんのお三方に共通する感覚を表現する場として開催されたもの。

"日常に溶け込むラフさ、カジュアルさがありながらどこか少しひりりとした緊張感を感じる服"。その感覚を表現する場所として開催されたもので、構想は二年の歳月にものぼるという。

さらに会場では運営の方々とお知り合いという、同じ空気感を持つ福岡・薬院のアンティーク家具「krank」さん、纏うジュエリーと言われている「Guilia K.」さんも色をそえる。

新たな時代を迎えようとしている今にふさわしい、歴史ある旧八女郡役所さんの空間を舞台とした幕と幕のあいだの「緊張」と「昂揚」の境界線の世界。それが体現されるがごとくこの地に誕生したというわけだ。

イベントのタイトルともなっている聞き慣れない「幕間」という意味を調べてみると、"芝居の演技が一段落して幕をおろしているあいだ。芝居の休憩時間。"と出てきた。考えてみれば、ぼくらはいつの時代も常にせわしなく演技をし続けている。女優ライトのような加工フィルター、きれいに魅せる衣装・メイク、どっかから引用してきた受け売りの台詞。

まるでトゥルーマン・ショーにも見える日常か非日常かわからない昨今でも、探せばきっとぼくたちの裏方(休憩室)としての憩いの居場所はある。ぐらぐらだけれど整ったアスファルトでは感じない、落ち着く土の床。点々と置かれた小道具や大道具、材料。可愛げのある木製の動物たちに目配せしながら、ママになっても世界一のモデルを目指せそうなイケてる洋服をみつける。待って、あっちにはあの人が好きそうなアクセサリーもあったぞ。

新たな時代へ向けて。カーテンを開いてしばしの休息を。

(大坪 磨亜久)

【幕間_まくあい_】
会期:2019年4月29日(月)~5月8日(水)
場所:旧八女郡役所
(福岡県八女市本町2−105)
営業時間:12:00 − 18:00

krank(アンティーク家具)
Giulia K.(纏うジュエリー)
emic : etic(服)
Tabrik(服)
宝島染工(服、装飾)
装飾協力(HOSHI DRESS AND WEDDING/ pas de calais)