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SAIKO OTAKEさんの個展『SAMPLING#09』

福岡・大名のUNION SODAさんで、2月2日(土)から2月11日(月)まで、写真やドローイングで表現されているアーティストSAIKO OTAKEさんの個展『SAMPLING#09』が開催されています。

SAIKO OTAKEさんはロンドン芸術大学を卒業後、独自の感覚で多様な文化を鋭敏に切り取る類まれなる才能から、これまでロンドン、シンガポール、台湾など、海外でも精力的に個展を開催されてきたアーティスト。今回の個展では、そんなSAIKO OTAKEさんが九州で撮影した写真のみで構成されている写真展となっています。

これは鹿児島のギャラリー「NEW ALTERNATIVE」さんで1月19日(土)から27日(日) まで開催されていた巡回展となっていて、国内での貴重な展示が南の地・九州でぜいたくに堪能できる企画となっているのです。

会場では、独自の世界観がたくさん広がっていて感動しました。

今回のSAIKO OTAKEさんの写真作品は一つの写真ともう一つの写真をつなぎ合わせて、はじめて一つの作品となるそうで、これまでの写真展の概念を打ち砕くような、常識にとらわれないミックスのセンスにはとても圧倒されます。

さらに SAIKO OTAKEさんの世界観を世に伝達する手段としてのカメラは、デジタルかフィルムか否やは特にこだわりを持っていない方らしく、何であれ自分の世界観を反映できればそれでいい写真家さんとのこと。レンズや機材にではなく、自分の目にリアルに写ったことに重きを置いている写真家さんって、すごいですよね。ときに清らかな淡さで、ときには毒々しい原色で、見た人を一目惚れさせるような多彩な色彩感覚は美しかったです。

どこで見つけてこられたのだろうということを思うことが多いほど、接写されている写真が並ぶSAIKO OTAKEさんの作品たち。写真には時おりどこか不揃いの線や見切れ、割れなど、アンバランスな味のあるズレが生じています。考えてみると、ぼくはそれがSAIKO OTAKEさんが見つけられた別にある「九州」の入り口/扉を"採集"をしてくれているようにも思えてきて、ぼくが会場にいたときに知らない世界を見ても途惑うこともなく、スムーズに、しかもしばらく入り込めたのはそういったエスコートのおかげもあるのかなと思いました。かなりオリジナル性があるんだけど、趣のある違和感を通して、どこか包容力もあるような雰囲気がありました。

ちなみにぼくの一番のお気に入りはこちらの作品でした。あえて二つの淡い水色を繋ぎ合わせて、冷たいような温かいような、子どものころに泳いだプールを思わせる色の水が、地平線の彼方まで広がっている幻想的な海がイメージできて、永遠の楽園のようでとても癒やされました。

会場ではプリント作品の販売はもちろん、これまで発行されたZINE、今回の企画のオリジナル製品も販売されています。

SAIKO OTAKEさんが手掛けた「大橋トリオ」さんのニューアルバムのカバーも特別に展示されていました。ドローイング作品もまた別の美しさがありますね。

独自性あふれる、SAIKO OTAKEさんの眼差しと同期するような唯一無二の写真展。ぜひ、体感しに行ってみてはいかがでしょうか。

(大坪 磨亜久)

【 SAMPLING#09 / SAIKO OTAKE 】
場所:UNION SODA
(福岡県福岡市中央区大名1丁目1−3−201)
会期:2/2(土)- 2/11(月)
営業時間:14:00 - 22:00
入場料:無料
協力:NEW ALTERNATIVE
※2/5(火)、2/7(木)は休館