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福岡カルチャーの逆流『- Fragrance - 第2回 Tシャツ展』

ぼくたちの住むカルチャーの街と言われる「福岡市」以外の福岡の休日プランといえば、実に親切な誰でも楽しめるルートプランが染み込んでいる。

いつもより少し遅く起床して一日がはじまり、昼はチェーン店で安定のご飯を召し上がり、お腹がふくれた後はバイパスを通り抜けピンク色の商業施設でショッピングと少しのレジャーを嗜み、帰りは予算百円ぐらいのお菓子を買って帰って、家で夕食とともに安定のバラエティを囲い、また続く明日に備える。

これがRPGや箱庭ゲームなら間違いなく批評サイトに一方通行なクソゲーなどと評価されるかもしれないが、ぼくは結構こんな休日の暮らし方が気に入ってもいる。(美味しいチェーン店やありきたりな普通の日常は悪くないから)

だが強いて言えば、アートやカルチャーにしか拠り所がないナードのようなぼくにとっても、良き出会いを常に求めているイケてる男子や女子にとっても、なんだか「刺激」というものが足りない気がする。だから多くの福岡の若い人々は現状、西鉄やJRに長く揺られて(ぼくの場合は少しの乗り物酔いを覚えて)でも、天神や博多にわざわざ降り立ってくるのだ。

もう少し、少しでもいいから、地元にもぼくらの居場所があったら。そんなことを時々、休日に思ったりする人は福岡に限らず地方には多かったりするのではないだろうか。

そんな中、すっかり春めいた今日4月20日(土)は、福岡・久留米のギャラリースペース「赤司広楽園」さんでいろいろな人や文化が集うイベント『- Fragrance - 第2回 Tシャツ展』が開催されていた。

本イベントは代表のSHINNOSUKE SHIBATAさんを中心に、福岡・久留米の地で"好き"を共有する場所を作り出し、それぞれの好きな服、好きな趣味、音楽などが重なることで起こる化学反応が楽しめるイベントとなっており、今回はTシャツをメインに開催されたもの。

- Fragrance -』のイベントの定義として、SHINNOSUKE SHIBATAさんはこう語られていた。福岡のカルチャー界隈の現状、カルチャー好きな人々が追い求めるところはどうしても魅力を取り巻く要素が多い天神エリアにとられている。だがそれをあえて地元の久留米にて取り戻し、人々や文化の今までの街の常識的な流れを"逆流"させたいと。

そのコンセプト通り、開催当初は参加クリエイターやお客さんなどは地元メンバーが多かったが、回を連ねるにつれだんだんと福岡や他エリアのメンバーも増えてきているとのこと。彼らの目指している通り、久留米、福岡双方にとっても今目が離せない、注目のイベントとなってきているわけだ。

会場では日本語ヒップホップがかかるギャラリースペースを中心に、少し範囲も飛び超えてそこらじゅうにグッドなバイブスが蔓延していた。

ブルーの用紙に女性の絵を描かれていたライブペイントの様子。来ていた人たちはイラストレーターの方の繊細な指に見入っていた。

原色のオレンジが眩しいパーカー。中央にはニコニコ動画に慣れ親しんでいた人には馴染みのある、ブルー色のツナギのあの人の姿も。懐かしい。

仕事で海外に行かれたときに撮られたという写真。厳選した二つの作品を飾られているそうで、海外の空気が感じられる情緒的な写真だった。この写真がプリントされていたTシャツも販売されていた。

彼らの使う好きを<共有>という言葉は、昨今では多元的に使われるようになった。その代表格であるSNS風に言えば、次なるステップは<拡散>が待っている。だが彼らにはそんな心配は微塵もいらなく、これからも地元で狂乱に踊り続ける。それは会場では親指やハート型にかたどった「いいね!」が声や表情、視線を通してたくさん飛び交って広がっていたさまを、ぼくは肌で感じ取ったからだ。そしてその証拠に、次なる開催は地元を飛び越えて福岡・糸島で予定しているらしい。

久留米の地より、福岡カルチャーの逆流を轟かす『- Fragrance -』。彼らの躍進はこれからも留まることを知らない。

(大坪 磨亜久)

【- Fragrance - 第2回Tシャツ展】
期間:2019年4月20日(土)
場所:赤司広楽園
(久留米市六ツ門町20-6)
開催時間:13:00~21:00
料金:入場無料

物販・展示:EGG HEADS、ENDA、NAHO、n0pp0san、playful perverse、SHIGEMATSU、性癖不動産
レザークラフトWS:juso
ZINE:NAHO、Ren Fujishige
Acoustic live:Sugar.C.A.P
DJ:こーぱん、みゆぱん、りゅーぱん