2019年1月15日、火曜日。

ぼくはUNION SODAさんで開催されていたニューイヤーイベント『HOWLING POOL』へ行ってきました。

プロジェクトスペースUNION SODAさんが1月の13日（日）、14日（月）、15日（火）の3夜連続で行った新年祝いのイベント「NIGHTTIME UNION」。去年の年末にイベント告知が発表されたときは、 豪華すぎな内容からその時をずっと待ち望んでいた人も多くいたはずです。

初日の13日（日）には数多くの気鋭アーティストのサポートを手がけ、去年の6月には自主レーベル<BINDIVIDUAL>を立ち上げた小林うてなさんや、13日（日）、14日（月）のゲストDJとしてグラフィックアーティストやアートディレクターなど、マルチな才能を発揮するYOSHIROTTENさん、14日（月）のライブには海外でも活躍中のバンド「The fin.」さんが来たり、地元福岡からもDJとしてSHOTA-LOWさんやTSUBASAさんが参加していました。

ぼくが行った15日（火）では警固に佇むカルチャー発信地も兼ねた理容室MERICAN BARBERSHOP FUKさんとUNION SODAさんの合同企画イベントとなっていて、ゲストにはROUTE 3 BOYさん、生焼売さん、Mr.coNYroo cozzleさんを迎え、さらにフードには六本松のBUY ME STANDさんが出店といった、福岡の気鋭カルチャーが一気に集結したようなイベントになっていました。

艶やかな赤と青の光がきらめく中でなされた音楽やカットライブ、映像や写真の展示。そんな最高の空間の中で絶好調に達したオーディエンス、アーティストみんなで作り出した当日は、僕にとって2019年の年はじめの福岡で一番熱かった一夜で、とても思い出深いものとなりました。

2019年がはじまって間もなく二週間が経ったカルチャー街「福岡」の新たな歴史の様子。撮り収めた写真とともに、ここに記録したいと思います。

午後19:00前。西通りを通り越した大名の中心街付近では、洒落気のある人々がスマートフォン片手にワクワクをうかがい知れる雰囲気で徐々に現れ出しました。

それは今日、大名のUNION SODAさんで『HOWLING POOL』という面白そうなイベントが起こるからです。赤と青のバーバーの模様が貼られた窓から見える、赤い照明に期待を馳せていると、裏路地からこのイベントを担うMERICAN BARBERSHOP FUKの方々が颯爽と現れ、ついに扉が開かれることとなりました。

会場では、QRコードを照らし合わせて入ることに。来場者には50名までUNION SODAさん、NUMATA YUTOさん（MERICAN BARBERSHOP FUK）によるステッカーがプレゼントされることを知って、ぼくも貰えたらいいなと思っていたのですが、手に入って嬉しかったです。帰って見てみたんですがNUMATA YUTOさんの方はサザエさんのカツオになっていて、素直という文字を頭に入れているデザインが可愛いです。

会場に入るとダンス会場、理容室、バー、アトリエといった様々な要素が音楽や照明とも合わさって、絶妙にミックスされている独自の世界観が広がっていました。UNION SODAさんお馴染みの赤い目ですが、今日は一段と似合うようになっています。

そこでまず、ひときわ目に入ったのが大きくプリントアウトされたMUKAI TAKAYAさん（MERICAN BARBERSHOP FUK）の写真の展示です。写真自体のインパクトもさながら、この世界を取り巻く構造や歪みなどの形に着目したテーマが、流れているゆれる音楽と相まってとても魅了されました。

さらに会場ではBUY ME STANDさんの美味しそうなサンドイッチ、小洒落たバーも完備。警固近くを通る時にMERICAN BARBERSHOP FUKさんの看板自体は見かけていたのですが、光って機能しているところは今回はじめてみました。バブリーな感じと、飲み屋街に鎮座する長年の名所的なデザインがいいです。

そしてオブジェのようにも見えるカット台。この台が数時間後にぼくの熱い思い出となった、決定的な瞬間を目にする場所となるのです。

ぼくが入場したときから音楽を担当しているMERICAN BARBERSHOP FUKさんの方。肝心のスタートをムーディーな音楽で、ばっちりときめてらっしゃいます。

次に舞台より下の段で現れたのは、ユニークな機材が揃った台を準備するMr.coNYroo cozzleさん（Chapter box）のお二人。唯一DJではなく、楽器を使った演奏で場を盛りあげてらっしゃるのですが、ただのエレクトロだけでなくバチバチのエレキギターや仏具のような楽器を使って、カオスで、パワフルなバイブスに会場を仕立て上げてらっしゃいました。

場がのってきて、次のDJを担当する生焼売さん（HEY & Ho.）も急遽キーボードやダンスで参加。セッションでさらに会場は盛り上がります。

そして次は生焼売さんのDJの場面。昭和の歌謡曲のようなものや、民族音楽のようなものなど独特な雰囲気で、場を徐々に笑いや渋みの会場に変えて和ませてらっしゃいます。ECDのロンリーガールがかかったときは会場も「おお！」と上がっていて、とてもかっこよかったです。

DJの最中には、生焼売さんが所属する九州ロッカーズの同メンバーの方もラップとして参加。フリースタイルで巧みに言葉のパズルをつなぎ合わせて、お客さんたちに応酬を食らわせ笑いの渦に変えます。ぼくは去年の「NORTH TENJIN PICNICS」以来の九州ロッカーズさんのステージを見させていただいたんですが、やっぱりいつも面白いです。

次はMERICAN BARBERSHOP FUKのDJの方とバトンタッチ。トラップやハウスを使い、一気に会場をスタイリッシュな空間へと変化させてらっしゃいました。だんだんと赤一色に変わる会場と、トラップの針のような音がうまくブレンドされていてかっこよかったです。

そうやって魅惑のDJプレイをみていると、お客さんの目は一斉に後ろの方へ。みんなが見ている先はずっと置いてあった理容室のカット台です。きました。NUMATA YUTOさんによるカットライブの時間です。

継続してMERICAN BARBERSHOP FUKのDJの方が音楽をかけ続け、 NUMATA YUTOさんはモデルの方のカットに取り掛かります。カルチャーとバーバーが繋がる瞬間。完全なるMERICAN BARBERSHOP FUKさんの世界観に、会場にいるみんなが引き込まれています。トリッキーにバンダナで目隠しをしながらバリカンを持ってカットを続けるNUMATA YUTOさん。皆さんのこころとNUMATA YUTOさんの手先が一体化し、緊張感と熱いバイブスで一つになる瞬間です。

ヘアーカットをイベントに取り入れる構成・演出。はじめるタイミング。そしてNUMATA YUTOさんの巧みな技術は全てがかっこよく、感動すらも覚えて、それは会場全体も全く同じだったらしく瞬時にエモーショナルな空間へと進化しました。本当に、かっこよかったです。最後に整った髪をセットし終えると、 NUMATA YUTOさんによるMERICAN BARBERSHOPさんが福岡に来てからの熱いメッセージが会場全体に届けられます。

その後もMERICAN BARBERSHOP FUKのDJの方の会場の掌握時間は続きます。ドレイク、デスティニーズ・チャイルドといったアンセムをかけ続け会場は最高沸点となりました。

TM NETWORKのGet Wildがかかっている瞬間。 MERICAN BARBERSHOP FUKの方が胴上げされています。高く飛んでいました。

そしてROUTE 3 BOYさん（ON AIR）の出番。得意とする80年代の曲などをレコードでかけ続け、イケてる男子やキュートな女の子をこれでもかと踊らせ続けます。今では一躍有名となった荻野目洋子のダンシングヒーローがかかったときは、大盛り上がりでした。

現在の福岡のカルチャーシーンを語るにおいて、外すことができないUNION SODAさんとMERICAN BARBERSHOP FUKさんが作り出した新年イベント。終わって数日経った今でも、まだまだ余韻が残っていて本当に楽しかったイベントでした。楽しすぎて幻のようだったけど決して幻ではなかったリアルな瞬間を焼き付けた今、2019年も面白そうな出来事がたくさん起きていくのではないだろうかと感じています。

ぼくたちを楽しませてくれた「NIGHTTIME UNION」は、インスタグラムにこうメッセージを添えて去っていきました。

"Not sympathy but empathy."

アドラーだって言っている「同情ではなく共感を」です。では僕たちはこれからどうやって、「NIGHTTIME UNION」が与えてくれたものと対等な考え方で何ができるだろう。深い思い出を胸に考えてみよう。答えはきっとあるはず。だってこのイベントは単に、アーティストやカルチャーと互いに会って見つめ合うだけで終わりではなく、本質は僕たち街の人々と繋ぐものなのだから。

あらためてそう教えてくれた関係者の皆さんには本当に感謝です。ありがとうございました。

（大坪 磨亜久）

【MERICAN BARBERSHOP FUK & UNION SODA「 HOWLING POOL 」】
" New Year Event Series 2019 : DAY 3 "
2019. 1. 15（tue）@ UNION SODA
OPEN ＆ START 19:00 / CLOSE 24:00
ART DIRECTION : NUMATA YUTO （MERICAN BARBERSHOP FUK）& UNION SODA
FOOD : BUY ME STAND
CUT LIVE : NUMATA YUTO（MERICAN BARBERSHOP FUK）
GUEST DJ : ROUTE 3 BOY（ON AIR）
生焼売（HEY & Ho.）
Mr.coNYroo cozzle（Chapter box）
DJ : AMITANI ISAMI（MERICAN BARBERSHOP FUK）
MIYATA TSUYOSHI（MERICAN BARBERSHOP FUK）
PHOTO : MUKAI TAKAYA（MERICAN BARBERSHOP FUK）