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包茎手術で50万円~300万円のローンを組まされるリスクと手術失敗のリスクについて。

2016年の少し古いデータになりますが、国民生活センターのデータによりますと過去5年度分の契約当事者男性の相談件数2,131件の内、包茎手術に関する相談が1,092件と半数以上を占めており、大きな減少はみられません。

危害事例には手術後の痛みがひどい、機能障害など後遺症が生じたという相談もみられるほか、学術雑誌には、包茎手術を受けた後、縫合不全で尿道欠損し、尿道再建した症例も紹介されています。

さらに高額な自由診療や、即日施術を強く迫られたケースのほか、不要と思われる手術を受けたケースや、保険診療だと思って受けたものもみられます。

国民生活センターのデータは2016年と古めの情報ですが、2020年には240万円も請求された事がニュースにもなりました。

包茎手術の失敗リスク

危害については、痛み、腫れなどが多くみられましたが、施術部分が裂けた、出血が続く、大量に出血した、組織の壊死(えし)という症状のほか、勃起障害や、射精障害などの性機能障害、排尿障害などの機能的な問題を生じているケースもみられました。
病院に行く際に心づもりしていた費用額は、5万円超~10万円以下が最も多く、実際の契約購入金額は50万円超~100万円以下が最多でした。

主な相談事例

【事例1】
 広告では、7万円~10万円とのことだった。クリニックで10万円くらいの手術を受けたい旨を伝えたところ、安い手術だと汚い仕上がりになると言われ、高い手術方法を勧められ総額約80万円の契約で、即日手術となった。2週間経つが術後の傷口がぱっくり割れてしまい、また、引きつれ感があり、陰茎部分が何も感じなくなってしまった。

【事例2】
 ネット広告を見て出向いた。医師とは思えない男性から説明を受け、手術台に上がらされ、医師から手術費用が65万円と言われた。また、「ヒアルロン酸を注射しないと包茎に戻る。15万円のものは一生残る」と言われ、約200万円の契約となった。痛みが引かず、泌尿器科を受診したら、一部が壊死していると言われた。

【事例 3】
ネットで 10 万円位という広告を見て予約。白衣を着た男性が対応し、触診を受け、「カントン包茎で、他院では保険は適用されない。10 万円では形が良くならない。増大させるために中に残る物質を使う」と言われ金額の説明をされたので保険が適用された額と思って契約した。確認書には全て「ハイ」で答えるよう指示された。約 300 万円の契約。

一般的な手術費の相場

目安として100万円掛かる保険診療の手術には膀胱を全部取る膀胱の癌の手術があります。朝から夜まで掛かり医師3人と更に看護師3人、麻酔医の計7人でやっと100万円相当の手術になります。

もちろんそれでも3割負担なので患者さんが支払うのは30万円程度になり、10万円を超えた分は高額医療費制度により戻ります。

その一方で包茎手術は医師1人で1時間程度で済む手術と考えた時点で10万円以上請求されるのは法外である事が分かります。

66人中41人50万円以上、内20人が100万円以上を請求。

こちらも古めの情報になりますが50万円以上も取られた患者さんが66人中41人もいて、更にその内20人が100万円から150万円も請求されたとハフポストさんの記事により分かります。

気を付ける点

(1)ホームページや広告の情報を鵜呑みにせず、情報を集めましょう
ホームページや広告に掲載された施術料金の何倍も高額な契約を結ばされるトラブル事例がみられます。
政府広報オンライン「美容医療サービスの消費者トラブル サービスを受ける前に確認したい4つのポイント」厚生労働省のパンフレットや、公益社団法人日本美容医療協会のホームページ などを見てリスク等の情報収集に努めましょう。

(2)即日契約・即日施術は断りましょう
美容医療サービスは疾病の治療とは異なり、施術の緊急性がある場合は極めて少ないものです。

しかし、国民生活センターのアンケートでは受診したその日に契約(即日契約)したという回答が多く、なかには、その日のうちに施術されたという回答も多くみられます。さらに、「状態がひどい」「この方法では仕上がりが良くない」などと虚偽の説明され、不安をあおられて高額な施術を勧められた他、すぐに手術を受けるように迫られた事例や、断っているにもかかわらず何時間も勧誘されている事例もみられました。

手術を行う際には事前に血液検査等で施術の支障となる疾患の有無を確認することが望ましく、即日施術の必要性が医学上認められない場合には即日施術は避けるべきです。

もし即日契約・即日施術を迫られた場合は悪徳クリニックと判断して間違いないでしょう。

(3)虚偽の説明
相談事例や紛争解決委員会で扱われた案件には、ヒアルロン酸やコラーゲン、ポリアクリルアミド等を注入することにより部分的に増大させ、より効果が見込めると説明されている事案が散見されます。本来このような注入物を注入する意味は全くありません、仮に注入する場合でも身体に深刻な後遺症をもたらさないよう、将来、身体に吸収されるものが主に使われており、吸収されれば効果もなくなります。

また、「注入する物質が非吸収性の場合には後遺症をもたらすリスクが高くなる。また、注入時血管に入れば血管を詰まらせ塞栓症を起こすことも考えられる」とのことです。これら注入物については、効果の個人差などとともに十分に説明を受けていない事例がみられます。

また、医師又は歯科医師の資格を持たない者が病状等の診断、治療方法の決定等の医行為を行うことはできないにもかかわらず、医師ではないと思われる人が病状等の診断、治療方法の決定等をしたのではないかと思われる事例もみられます。

万が一法外な契約を交わされた場合は?手術が失敗した場合は?


トラブルにあった場合は、早めに消費生活センター(局番なしの188)に相談しましょう。医師又は歯科医師の資格を持たない者が病状等の診断、治療方法の決定等の医行為を行ったのではないかと思われた場合や広告に問題があると思われた場合には、最寄りの保健所等に情報提供しましょう。

なお、医療による危害に関するトラブルの場合、術後の不調と受けた施術の因果関係の立証は、消費生活センターでは困難です。補償等を求めたい場合には、早めに医療機関で診察を受け、弁護士等にも相談しておきましょう。


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