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【MaaS体験記番外編#1】柏の葉スマートシティに行ってみた

はじめに

このnoteでは、全国各地のMaaSのサービスを実際に体験して、その感想などを発信していきます。

今回は「MaaS体験」という本流を離れて、MaaSとも関係の深いスマートシティを取り上げます。

スマートシティも多くの自治体で実証実験が行われていますが、今回は「柏の葉」の取り組みを紹介します。

スマートシティとは

まずは「スマートシティ」とは何かです。

スマートシティは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場と定義されています。

出典:内閣府

柏の葉とは

千葉県北西部の柏市にある地域です。2005年8月のつくばエクスプレス(TX)が開業されてから「柏の葉国際キャンパスタウン構想」という計画をもとに現在も開発が進められています。

この構想は、社会課題解決モデル街づくりを実践するための構想で8つの目標と28の方針で構成されており、目標・方針のそれぞれで重点施策が設定されています。

この8つの目標に沿って、柏の葉の取り組みを紹介します。

目標は次の8つになります。
 目標1:環境と共生する田園都市づくり
 目標2:創造的な産業空間の醸成
 目標3:国際的な学術・教育・文化空間の形成
 目標4:サスティナブルな移動交通システム
 目標5:健康を育む柏の葉スタイルの創出
 目標6:公・民・学連携によるエリアマネジメントの実施
 目標7:質の高い都市空間のデザイン
 目標8:イノベーション・フィールド都市

この記事では、目標1〜4について解説します。

柏の葉国際キャンパスタウン構想

◆目標1:環境と共生する田園都市づくり
 豊かな自然と都市のみどりにふれあいながら、環境にやさしい暮らしを楽
 しめるまち
 ○方針1ー1:生態系を育む「緑地ネットワーク」を保全し強化する
        街区の緑化率25%、まちの緑被率40%維持
 ○方針1ー2:持続可能な開発や建築の「柏モデル」を普及する
        個別開発におけるCO2削減35%達成
 ○方針1ー3:持続可能な開発に対する市民意識を高め、
        市民全体で環境共生型のライフスタイルを推進する

方針1ー2に「CO2削減35%達成」があり、CO2削減に向けての取り組みが行われています。

柏の葉キャンパス駅近くのゲートスクエアの屋上では太陽光発電が行われ、ゲートスクエアに隣接するエネルギー棟では国内最大級のリチウムイオン蓄電池システムを備えています。

写真 2021-11-10 10 44 08

また「電力融通装置」と呼ばれるものがあり、街区を超えて地域で電力をシェアし合うことができ、災害時には備蓄した電力を融通し合えるシステムになっています。公道をはさんだ街区を超えて融通し合うのは日本初なんだそうです。
創エネ・省エネ・畜エネがひとつになったエネルギー施設です。

◆目標2:創造的な産業空間の醸成
 創造的な交流にあふれ、職住が一体となった自立したまち
 ○方針2ー1:TX沿線に集積する最先端技術・研究を活かす世界水準の
        創造環境「イノベーションコリドー」を実現する
 ○方針2ー2:大企業や研究機関などに対する魅力を明確に発信し、
        立地を促し、新産業創造コミュニティを実現させる
 ○方針2ー3:既存産業の高次化、環境改善と雇用総力の強化を図る

方針2ー1に「世界水準の創造環境を実現する」があり、つくばエクスプレス沿線に集積する最先端技術・研究を活かす取り組みが行われています。

KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)

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 コワーキングスペースや個室オフィスを備えた起業支援施設です。
 3Dプリンタやレーザーカッターなどの電子工作ツール揃ったKOILファク
 トリーやKOIL利用者同士をマッチングしてくれるビジネスサポートもあり
 起業を支援してくれるサービスが充実しています。

KOILモビリティ・フィールド

KOILモビリティフィールド

 KOILモビリティ・フィールドには、様々な検証環境、デバッグ環境が整っ
 ていました。

 1.ドローンのデバッグ環境

KOILモビリティフィールド_02

 25mプールほどの広さで高さも十分にありました。また、ネットと柵の間
 にスペースもあり、見学する方の配慮も十分でした。ドローンを安心して
 飛ばせる環境です。

KOILモビリティフィールド_03

 2.無線ネットワーク環境

 フィールド内では、キャリア5G・ローカル5G・Wifi・LPWA(LoRa)が
 利用でき様々な通信実験が行なえます。

KOILモビリティフィールド_04


 3.モビリティの走行環境

 舗装路はもちろんですが、砂利が敷き詰められた不整地があり小型電動バイクのサスペンションをテストするのに丁度良いのだそうです。また、草刈り機をデバッグできる環境もありました。

KOILモビリティフィールド_05

今回、お話を伺ったのはKOILモビリティ・フィールドを運営されているドーロンワークス株式会社の代表を努めておられる今村さんです。

今村さん

今村さん、面白い話をありがとうございました!!

◆目標3:国際的な学術・教育・文化空間の形成
 一生「学び」を楽しむことのできる、知的好奇心を刺激するまち
 ○方針3ー1:国際化に対応した生活環境を整え、世界をリードする
        研究・教育機能を強化する「10の研究・教育機関の誘致」
 ○方針3ー2:これからの社会を担い世界の最先端で活躍する人材を
        育成する基礎的な教育環境を充実する
 ○方針3ー3:大学と連携した住宅を提供し、学びのあるライフスタイル
        を推進する

方針3ー2に「活躍する人材を育成する基礎的な教育環境を充実する」があります。

柏の葉には、東京大学と千葉大学のキャンパスが設置されていて、柏の葉国際キャンパスタウン構想の目指す都市の姿である「国際学術研究都市」実現のため、公・民・学連携の「学」を担っています。

柏の葉大学

また、子どもたちを対象にした職業体験が行える住民参加型プログラムの「ピノキオプロジェクト」というプログラムがあり、職業体験を通して子どもたちが柏の葉を知る機会があるそうです。

◆目標4:サスティナブルな移動交通システム
 環境負荷が少なく、自由で楽しい移動交通が、暮らしの質を高め活力を
 育むまち
 ○方針4ー1:公共交通の充実により環境負荷の低減および
        都市間・地区内の移動を円滑にする
 ○方針4ー2:歩行者と自転車の楽しい移動を促すネットワークをつくる
        「自転車分担率の10%増加」
 ○方針4ー3:自動車利用を適正化するため総合的な施策を展開する
        「自動車分担率の10%低下」
 ○方針4ー4:ITS情報システムを活用したモビリティマネジメントを行う

方針4ー3に「自動者分担率10%低下」があり、カーシェアリングの充実や環境に優しいモビリティ導入が挙げられています。

環境に優しいモビリティとして「電動キックボード」がありました。

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事前にユーザー登録とクレジットカード登録が必要で、借りるときはハンドル付近のQRコードを読み込むだけです。

電動キックボード_01

天気の良い日は気持ちが良さそうですね。

電動キックボード_02

また、柏の葉キャンパス駅から東京大学柏キャンパスの間で、自動運転バスの実証実験が行われていました。学生さんの利用がメインですが、東京大学へ来訪される方であれば乗れるようです。

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今回はここまで

今回は柏の葉国際キャンパスタウン構想の目標1〜4までです。目標5〜8については次回の記事で紹介します。

Youtube

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