【映画評】 杉田協士『河の恋人』
幼い女の子が目を覚ますと隣の枕には誰もいない。その枕の主はいったい誰なのか。
女の子はパジャマ姿のままアパートの外に飛び出し、誰かを追いかける。
杉田協士『河の恋人』(2006)は、このような不在の呈示で始まる。それから年月が流れたのか、アパートの二階から女子高校生(中学生かもしれない)が荷物を持って現れる。引っ越しをするようなのだが、この女子高生の名は桐子(表桐子)。桐子は冒頭の幼い女の子と同一人物であることがやがて判明する。今日は桐子の演劇部・転校記念公演の日。桐子は学