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どの扉から入ろうかな_doors

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映画、演劇、ダンス、音楽、マンガ……。 無指向性マイクのようにカルチャーを駆け巡りたい。そうすれば、これまで見えなかった世界が現れてくるはず。
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2023年10月の記事一覧

【映画・音楽評】 リュック・フェラーリ……ほとんど何もない Presque rien

リュック・フェラーリLuc Ferrari(1929〜2005) フランスの作曲家、映像作家。特に電子音楽で知られる。 映像作家としてのフェラーリ作品が上映される機会は、日本ではほとんどない。研究機関や特別な上映会においてのみである。 リュック・フェラーリ『ほとんど何もない、あるいは生きる欲望』 Presque rien ou le désir de vivre ドイツ(1972・73) 第一部 コース・メジャン Le Causse Méjean 第二部 ラルザック高原

【映画評】 宮崎大祐『#ミトヤマネ』…「ミト」論・本章(1)

本稿は 《宮崎大祐『#ミトヤマネ』…「ミト」論・序章…遠近法による一元化》 の続編です。 本章(1) 序章では天皇表象における遠近法による意味の一元化について述べた。ただ、序章で述べたのは日本の新聞写真上の「天皇夫妻の写真」における〈遠近法〉による意味の一元化ということであり、わたしはイメージにおける〈遠近法〉の危険性を指摘したまでである。そこでの〈遠近法〉の要旨は、たとえば射影幾何学の、視覚の円錐の頂点から世界へと射影する主体への付与であり、集団無意識(=国民)の奥底で