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スタートアップもデットファイナンスをもっと活用できる|M&A BANK Vol.250

スタートアップも説明の工夫次第で借りられる!

島袋
いやあ大野さん、面白いですね。
もっと早く出会いたかったです。

大野
そうですよね。

島袋
でもここまでお話を聞いてきてちょっと疑問なんですが、本当にみなさん実際に(デットで)借りられるんですか?

大野
スタートアップでもってことですよね。
少なくとも僕たちの実績は出てきていますので、僕は借りられると思っています。

その中でよくわかったのは、スタートアップの人たちはピッチにしても事業計画書を作るにしても、エクイティの調達に向けてものすごくチューンアップされているということです。
Jカーブを描いて10億とか20億とか掘って掘って掘りまくって、そこから10倍20倍、下手したら100倍になりますよ、みたいな事業計画を作るんですよね。でも、さっきも言った通り調達の向こうには投資家がいて、彼らの思惑と一致しなければエクイティでもデットでも調達はできないんです。

エクイティの調達なら出す方もハイリスクハイリターンだと分かっているから、Jカーブを描くものだと思っているし、10社に1社、100社に1社でもいいから当たればいいと思っているかもしれませんが、デットの調達はそうじゃないですよね。
彼らはローリスクローリターンでやっているから、100件貸したら100件返ってこないといけない。だから、エクイティでの調達にチューンアップされたピッチの仕方、アピールの仕方では、デットで出資する側の人たちは「危なっかしいな、怖いな」とか、「失敗しちゃうかもしれないな」と思うんです。

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でも、僕たちがスタートアップの人たちを支援するときによく向き合って話すと、彼らはめちゃめちゃ優秀なんですよ。
Jカーブ描くものを本業にしようとは思っているけど、その横で、もしくはその裏で、たとえばしっかり受託開発をしていたり、マーケティングのコンサルをやったりとか、何ならホームページやECサイトまで作ってやっているビジネスがあったりするんです。
でもそれって、ピッチイベントで言わないじゃないですか。

島袋
言わないですね。

大野
でも、実は金融機関ってそれを言って欲しいんですよ。
「受託開発して月に100~200万円でも売り上げが立っているならそれを言ってよ」と思っているんです。
彼らはJカーブを描くどうなるかわからないビジネスのことより、今現に100万円200万でも売上が立っていることを教えてほしい。そういうものがあれば、貸せるんです。

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島袋
なるほど…


むしろ華やかじゃないところが評価される

島袋
はいはい先生。
その話って、法人を分けてやっていることについても評価されるんですか?同一法人内の話だけですか?

大野
基本的には実質の部分を見られるので、たとえば役員が一緒とか、社長さんが一緒とか、資金の出し手が一緒であれば同じ会社のものとして見られます。

島袋
なるほどね。

大野
僕が支援をするとそういうアドバイスもするので、貸す方も貸しやすいんですね。
あんまり言うと語弊があるかもしれませんが、たとえば町のラーメン屋さんって、公庫さんから借りられるケースが多いんですよ。ラーメン屋さんも立地がかなり重要だし、その1店舗が失敗してしまったら次どうするかすごく困ることになるはずだから、ローリスクローリターンではないのに。

島袋
そうですね。

大野
なのになぜ貸すかと言えば、わかりやすいからなんですね。
一方で、スタートアップの人たちが本業にしたい「世界を変えるぞ」みたいな事業の話って、金融機関の人たちはよくわからないし、リスクも高そうに感じるんです。
でも、スタートアップの人たちって、仮に狙っていた事業で失敗したとしても受託開発できたり、エンジニアなら今は引く手数多ですから、普通に就職しても十分返せるんですよね。

僕からすれば、こういう人たちの能力の方が町のラーメン屋さんよりよっぽどローリスクで、ちゃんと返済できそうだなと思うんですよ。

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「シェアオフィスだと借りられない説」

島袋
なるほど。もう一つ聞きたいんですが、たとえば本店とか本社を登記しているのがシェアオフィスだったら借りられない、ということはありますか?

大野
今のところ公庫さんではないですね。
ただ町の金融機関さんや信金さんとか銀行さんの中には、行内のポリシーとしてシェアオフィスには貸さないと決められているところもあります。

もしかしたら今後公庫さんもポリシーを変えることもあるかもしれませんが、今のところシェアオフィス・バーチャルオフィスでも借りられていますね。

島袋
なるほど。
うちはWeWorkに入居しているんですが、今のところ借りられているんですけど、後々借りれるのかなと不安で。
「あいつらWeWorkだから減額だなぁ」となったら嫌だなと思ったんですよね。

大野
減額ということはないです。


借りられる額=○○○額

大野
たしかに「いくら借りられるか」ってとても気になりますよね。売上の3ヶ月分と言われたり、利益の何年分と言われたり…僕の答えは「返せる金額」です。返せる金額が借りられる金額の最大値ですよ。
最大値まで借りるかどうかは置いておいて、とにかく返せる金額以上は借りられないわけです。

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返せる金額はどう決めるかと言うと、事業計画書を作るんですね。
精緻なものを作って「うちはこういう成長戦略で利益はこう出して、資金はこう回収して、その中からいくら返済に当てられる。だからこれだけ貸してください」と言うものなんです。
金融機関の人から「何ヶ月分です」「何年分ですね」と言われるようなものじゃない。

なのに、その準備をしないからそう言われるし、「担保ください」「保証人ください」となってしまうんです。攻め方が違うんですよ。

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嘘みたいな話ですが、攻め方さえ知っていれば、事業計画1本で、低金利で連帯保証も外して、必要な金額を借りることができます。

島袋
早く知りなかったなこれ、本当に。全然知らなかった。


金融機関は、2015年3月から大きく変わった

大野
こんなこと誰も言わないし、中には怒り出しちゃう社長さんもいるんですよ。
「大野さん嘘ばっかり言っちゃいかんよ」「うちは昔、顧問の先生と一緒に事業計画書を作って金融機関に持って行ったけど、金融機関は事業計画書なんて見てくれないよ」「社長の奥さんは保証人になれますかとか、実家が金持ちですかとか、そんなことしか聞かれなくて嫌な気分になったよ」とおっしゃて。
確かにかつてはそうだったんですよ、2015年の3月まではそうだったんです。

島袋
最近じゃないですか。

大野
そうなんです。
2015年の4月に何が起こったかと言うと、金融庁の長官が森さんという方に変わったんですよ。
森さんは就任して1番最初に、「お金の貸し方ってそれでいいの?」「みなさんはビジネスにお金を貸してるんでしょう?」「だったら担保がどうのとか保証人がどうのとかじゃなくて、そのビジネスに成長性があるのか、収益性があるのか、もしくは社会貢献できるのか、そういったところを評価してお金を貸さないとダメですよね。」と言ったんです。

島袋
いやー、正しい。森さんは正しい。

大野
そうなんです。それで国は「事業性評価融資」と名前を付けて推し進め始めたんです。

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紆余曲折ありましたが、今はどの銀行も事業性評価融資をやりたいと思っていますよ。だから事業計画書を出して欲しいんです。
でもみんな出してくれないから、じゃあ保証人になって、担保入れてという話になってしまう。

島袋
その事業計画書って何年分出せばいいんですか?

大野
僕達が作っているもののメインは、損益計算書と資金繰り表5年分ですね。これを月次で作っています。

島袋
すげー!

大野
だから、損益計算書が60枚できるイメージです。その60ヶ月の損益計算書全てに資金繰り表をつけます。
損益だけだと資金の動きが見えなくて、返済にいくら充てられるかがわからないので。

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借り入れやエクイティの調達、返済、月末の現預金残高がいくらになるかも入れたものを、文書もアクションプランも揃えて、認定支援機関のハンコを押してコメントをつけて一緒に申し込みます。
だから無担保無保証でお金が借りられるんです。

島袋
すごい、こんなコンサルティングいないですよ!さすが借金させる王。これ絶対めちゃくちゃ問い合わせ来ますよ!

大野
僕たちは事業計画書を一緒に作って、金融機関への打診と面談の設定までして、1円もお金はもらわないんですよ。
僕たちは最後に本当に融資が実行されたら、そこから実行金額の5%だけを完全成功報酬でもらっているんです。

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島袋
けっこう良心的ですね。

大野
完全成功報酬ですから僕らも必死ですよ。
二人三脚で運命共同体でやるから、この必死さが多分事業者さんにも金融機関にも伝わって、これだけご用命いただいてると思っています。

島袋
きっと国内ナンバーワンですね、すごいなー。
実は収録の前にも僕たちも相談させていただいたんですが、今までの調達は何だったんだって思いましたね。(笑)

大野
でも普通は知らないですよ。

島袋
本当にありがたいお話続きです。次回もまだまだお話を聞きたいと思います。
今回はここまでですね。どうぞお楽しみに!


【出演者情報】

■大野修平:OneWorldコンサルティング株式会社-代表取締役 兼 公認会計士・税理士
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。トーマツ退所後は、OneWorld税理士法人にて開業支援、融資支援、税務顧問などの業務を行う。また、毎週、補助金と融資の勉強会を開催し、スタートアップの資金繰り支援にも力を入れている。

■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。

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(M&A BANK YouTubeチャンネル)

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