最果てまで、日帰りで。 【きっぷ1枚で日本横断:#2】
日本横断2日目、石狩川の橋上から。
現在時刻は、朝6時前です。おはようございます。昨晩泊まったネットカフェを出て、今は新旭川駅まで歩いています。と言っても、今日の寝床も同じネットカフェをすでに予約しています。今日は日本横断をほとんど進めずに、旭川から青春18きっぷを活用した日帰り旅行に出かけます。
…などと書くと聞こえが良いですね。本日の旅程、シンプルゆえに過酷なのです。そして、僕は新たな最果てに降り立つこととなりました。
列車で「1本で行ける」場所へ
始発に乗りに行こう
というわけで、新旭川駅に到着しました。夜たどり着いたときはあんなに不気味だったのに、明るくなって再訪するとなんだか趣があって良い駅ですね。印象が変わりました。
昨日は乗り継ぎに次ぐ乗り継ぎで結構大変でしたので、今日は列車「1本で行ける」場所をセレクトしました。宗谷本線の始発列車に乗り込み、目的地へ向かいましょう。
さて、行き先を見て勘づいた方もいらっしゃるかも分かりませんが、本日の目的地は日本最北端の宗谷岬です。その為に、日本最北端の駅である稚内駅まで向かいます。ちなんでおくと、稚内駅までの所要時間は驚異のおよそ6時間。朝6時過ぎの始発に乗ったのに、稚内に着く頃にはもう午後になっています。「1本で行ける」なら楽で近い、もしそんな先入観があったとするなら、それは一種の都会病なのかもしれません。それらしい仮説や理論の反例がないか考えるのは、大学で数学をやっている人間の性なのかもしれませんが。
というわけで、普通列車6時間耐久コースの幕開けです。なお、帰りも同じことをして帰る他ないので、要するに1日で12時間耐久コースです。宗谷本線を余すことなく満喫していきましょう。
宗谷本線を満喫(強制)
ほんとうにいろんな駅を通ってきました。列車は幌延駅に到着したあと、しばらくの間この駅で発車時間待ちがあります。かなり疲れてきたので、ホームに出て写真を撮ったりストレッチしたりしていました。ちゃんと屈伸、伸脚、アキレス腱伸ばしなど入念にやりましたよ。
身体のコリを解したのち、先へ向かいます。
6時間、やっぱり長かった。それでも終わりは訪れます。12:07、定刻通り日本最北端の駅、稚内駅に到着です。
最北の絶品と絶景
どうなってるんだ、このウニ
さて、着いた頃にはもうお昼。流石にお腹が空きましたので、最北でどうしても食べたかった宗谷のウニをいただきましょう。駅から少し歩くのですが、さすが最果ての土地、歩くのも大変なレベルで海風が吹き荒れていました。
色々なメニューがありましたが、予算のことも考えつつ、1600円のミニうに丼を注文しました。それがこちら。
肝心の味についてなのですが、たかが20数年くらい生きてきた程度の僕の語彙力ではすべてが陳腐になってしまいますので、気になる方は稚内まで行った方がいいと思います。行くのは超絶大変ですが、もしウニが好きなら、その手間をかける価値は十二分にあるといえるでしょう。最高の1杯でした。大満足で駅に戻ります。
新たな最果てに降り立つ
フルパワーをチャージしたところで、バスに乗って宗谷岬へ向かうことにいたしましょう。ちなみに本日の移動、旭川↔︎稚内よりも稚内↔︎宗谷岬の方がお金かかってます。距離感は完全に逆ですが、それだけ青春18きっぷを使い倒すととんでもないパワーになることが分かりますね。まぁ、ざっくり今日は行って帰ってくるだけなんですけどね。
《参考》
旭川から稚内までの移動が長過ぎて目が眩みますが、稚内から宗谷岬までもなかなか遠いです。僕はバスで行きましたが、レンタサイクルも可能で、これは相当に過酷です。高校同期がレンタサイクルしてますので、参考までにご覧くださいね。ちなみに彼は、最長片道切符ですので僕と違って稚内スタートのきっぷで旅をしていたようです。
そんな訳で、50分ほどかけて最北の地、宗谷岬に到着しました。
宗谷岬、めちゃくちゃ人多かったです。写真を撮ることですら精一杯。観光地として人気なことは良いことなのだと思いますが、最果て感は思ったよりもなかったです。昨日の納沙布岬が凄過ぎたのでしょうか。あくまで僕の超個人的な意見ですが、納沙布岬の方が寂寥感満載で好きかなぁ。
最北の地あたりは人が多いので、少し高台に登って俯瞰しましょう。
なるほど、こうして立て続けに最果てへ訪れることで、違いが明確に感じられるのですね。身体に鞭打って両方日をおかずに行った甲斐がありました。自らの最果て力(?)を高めたところで、バスに乗って駅へ戻りましょう。
稚内の補遺を回収
稚内駅に戻ってきた後、1つ見忘れているものがあることに気が付きましたので、帰りの列車が来る前に見物しておきましょう。
駅から海の方へ少し歩くと、何やら大きな建造物が見えてきました。
こちらは「北防波堤ドーム」と呼ばれています。様々な歴史を含んだ建物なのですが、そのあたりの情報はぶっちゃけ検索した方が分かりやすいし早いのでここでは割愛して、さっさと帰りの列車に乗り込みましょう。
さぁ、帰るぞ
しばらくすると陽も落ちて、いよいよ車窓からは何にも見えなくなってしまいました。そんな中、列車が佐久駅を出発して間もないタイミングで、突如急ブレーキ。車内に重たい揺れが響き渡りました。そうです、この列車も鹿と衝撃したのです。次の筬島駅まで走った後、車両点検が始まりました。
しかしこの車両、古い車両なので当然ドアボタンなどといったものはなく、車両点検中ドアが開け放たれていました。その影響で、筬島駅出発後は車内がまさかの虫パラダイス。控えめに言って地獄でした。鬱陶しいことこの上ないし、気抜いたらどっかから体に入り込んできそうな勢い。車窓が無いことも相まって、これほど辛い移動はなかったですね。終着の名寄駅が、ものすごく遠く感じられました。
そんな訳で、終着の名寄駅になんとか到着です。気持ち的には相当長かったけど、旭川まではまだまだです。車窓無くなるだけで、こんなにもきついとは。
名寄からは、冷房設備のある近代的な車両に乗り換え、旭川を目指します。
さて、ここから先はもう帰るだけでつまらないな、と思っていたのですが、ここで通路を挟んだ向かいに座っていたおじさんに突如話しかけられました。このおじさん、行きの6時間かかる稚内行きから同じ列車に乗っていた方なのですが、この方相当に旅経験の豊富な方でして、その方の話が面白過ぎて旭川にあっという間に辿り着いてしまいました。物凄い出会いです。
ちなみにその方、ここでは言えないほど色々あって自らの痕跡を一切残さないことをポリシーにしていたようですので、どんな話を聞かせてくれたかも含めて、内緒にさせてください。楽し過ぎて、旭川駅の写真すら撮り忘れてるんですから、そういうことです。何はともあれ、旅をする人間として最高の出会いでしたね。
昨日は新旭川駅から歩くのに懲りてしまったので、今日は日本横断の乗車券の経路を旭川駅まで進めることにして、旭川駅からタクシーでネットカフェに向かいました。タクシー乗っても駅前のホテル泊まるより半額レベルで安上がりなのですから、ネットカフェがいかに学生の味方でいてくれているかが窺い知れますね。ネットカフェに着いたら、稚内のセイコーマートで仕入れておいた焼きそば弁当を頂いてから、明日に備え休むことにします。机上では単純だけど、全くもって一筋縄では行かなくて、でも嬉しいこともたくさんあった、そんな1日でした。僕にとっては、良い旅です。
明日はちゃんと、日本横断を進める見込みです。それでは、おやすみなさい。
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