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合掌

身近な人が逝ってしまった時
最後に会った時は…と思いを巡らせる

母が逝った時は
数日ずっと傍らにいて手を握っていた
もう寝たきりで
自発的に動けない母の傍らにいた

看護士さんと母を挟んで話している時に
母の左足が
まるで歩いているような動きをした
看護士さんも私も一瞬ハッとなった
行く方向が見えたのかな…みたいな事を
私が言うと
看護士さんは穏やかな顔で頷いてくれた
その後静かに息を引き取った

もう細かい記憶は定かではないけれど
あの動いた左足と看護士さんの表情は
はっきりと覚えている

母と最後に交わした言葉は
救急車で運び込まれた母を病院で出迎えた時
〝この役立たずがまた迷惑かけてる!〟
〝そんな事ないよ〟
その時の表情があまりにも哀しすぎるから
あまり思い出したくない

先日逝ってしまった近所の方
家の前の掃き掃除をしていた彼女の傍へ
なぜ行って話しかけなかったのか
ほんの10数メートル先にいたのに

ごん太との散歩の終盤で
暑くてしんどくて早く帰りたかった
それが理由

わずか4、5時間後に彼女は逝ってしまった
もしかしたら元気な彼女を最後に見たのは
私だったかも知れない

いつものように挨拶をして
犬や花の話をして〝さよなら〟って
そんなひと時を過ごせていたかも知れない
暑くてしんどくて
どうせまた明日会えるしって
まさかその〝明日〟がないなんて…

旦那さんを
〝行ってらっしゃい!〟
って見送ってからじゃないと
犬の散歩に出られないって話してた
だから彼女と私は同じ時間帯だった
ちょっともう陽が高くなって暑くても

〝行ってらっしゃい!〟
〝おかえりなさい!〟
その時は必ず家に居たいよねって

〝いつもの明日〟がないなんて
その時にはわからない
その時その時を大切にする事しかできない

そろそろ起きて毎日を大切にしよう

合掌

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