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白髪が目立ってきた母の
後に湯船につかっている
毛が浮いていて気になるので
いちいち掬って湯船の外に捨てる
捨てても捨てても浮いてくるから
適当に切り上げて気にしないことにした
目を閉じて身体を伸ばす
湯の気持ちよさを感じて
再び目を開けると
いつの間にか
白髪と黒髪が寄り集まって
ひとつの塊になっていた
気持ち悪いから捨てようとすると
黒髪が文字として読めることに気づいた
そこには
いつまでも自立しないぼくへの
要望が書き付けられていた
とても長い手紙だった

#手紙の問題

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