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鏡に映った人物に「ここがおまえの墓場だ」と言われた。言われたと感じたのは本当のことだ。ただ「これはもしかしたらぼくが発した言葉だったかもしれない」と考えるだけの理性は残っていた。それだけしか残っていなかった。晴れて完全に枯渇したぼくは「どこか邪魔されることのない場所でゆっくり休みたい」という希望に促され、鏡を抱いて冷えた褥の河に入水した。

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