いつか「心の原風景」に出会えるかな?マカピーな日々#0357
マカピーです。
アフリカはザンビアで出張に向かっていた時の事です。
午後の日差しの中を3台の4WDに分乗したマカピー達は目的地に向かって時速110kmほどの高速で移動していました。
平原といっても南部アフリカは何億年前かに溶岩台地を形成していたので標高が1000mほどもあり、次々と風景が変わって行くのでした。
首都ルサカから郊外に出てしばらくすると雄大な景色の中に雲が沸き上がり、その黒い雲の一つからはカーテンのような雨が降りる様子が見えました。
やがてそれも背後に移動して次の雲が現れるのを繰り返していると、突然隣のK先生(医師)が口を開いたのです。
K:「この景色です。ぼくがずっと夢見てきたアフリカの景色がまさにこれなんです」
マ:「(突然の独り言にビックリ)K先生、そうだったんですか?」
K:「この景色を見るためだけでも、来た甲斐があります」
マ:「そりゃ良かったですね」
K:「うん」
そう言ったK先生は、また車窓をむいてじっと外の景色を無言でながめていました。
それまでは無口で何を考えているのかよく分からないK先生とはまともな会話をしたことがなく、おそらくそれが最初の会話だったと覚えているほど印象深い言葉でした。
世界的に見ても日本人は世界各地を観光している民族でもあり、自国が島国で春夏秋冬に加えて山岳地形もあり変化に富んだ風景に恵まれています。
中東や北アフリカの砂漠地帯に住む人たちからすれば、日本各地の風景は「どれも素晴らしい」場所に思えると思います。
その昔、中東の砂漠地帯で地元の人に「今日は素晴らしい風景を見せてやる」と自信満々に連れて行かれた場所が、小さな池の周囲にブドウと数本のナツメヤシがあるだけだったのでした。
「どうだ、素晴らしい眺めだろう。なかなかこうした風景には出会えないんだ、堪能してくれ!」といわれても、拍子抜けしたという日本人の話がありました。
マカピーもフィリピンに住んだ際に、マニラから近いタガイタイという巨大なカルデラ湖が見える絶景を楽しんだことがあります。
そのタール湖には噴火を繰り返す火山島もみえて確かに素晴らしいのですが、、、、マカピーは30分もいると飽きてしまったのです。
湖畔に降りて行ってその周辺を散策したり食事をとったりするのではなく、外輪山の一角から眺めるだけの風景にあまり興味がわかなかったのかも知れません。
その後も世界各地で日本ではお目にかかれないいろいろな景色を見るのですが、そのどれもがマカピーの「心の原風景」になる事はありませんでした。
マカピーの友達夫婦で中学生の一人息子を連れてアフリカのサファリツアーに行った話を聞きました。
彼らは家族分のかなりの旅費と時間をかけてケニヤに到着、いよいよツアーの目玉であるサファリに出かけたのです。
ところがその息子は全然興味なしで、ずっと当時発売されたばかりのニンテンドーのゲームボーイから目を離さずしまいだったそうです。
両親は周囲のゾウ、シマウマ、キリンそしてライオンの存在を彼に伝えるのですが、一言「ビデオを撮っておいて、後で見るから」
親としては「情けない、なんであいつは興味を持たないんだ!?」とせっかくの機会を逸したと嘆いてました。
今となればインターネットにアクセスできれば世界各国の風景を瞬時に目の前にディスプレイ出来るのです。
景色を見るだけの旅であればそれで十分と言う人もいるくらいです。
残念ながらそこに吹く風や光の具合、匂い、音などは分かりませんがかなりの臨場感で迫ってくるでしょう。
バーチャルなのか現実なのかの意味の境界線が曖昧になっているのが現代であり、あの中学生は既にその感覚を先取りしていたのかと思います。
マカピーはいまだに自分の「心の原風景」を求めているのだなあと思う今日この頃です。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。映画「マトリックス」ではバーチャルも経験値となるって教えてくれたよ!
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