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将来、いや生まれ変わったら、ボイジャーを受け取る側になりたい…

無人惑星探査機ボイジャー。1977年に打ち上げられ、今現在も稼働しています。
それは秒速約17kmという想像もつかないスピードで地球から遠ざかっているそうです。


「地球からどんどん離れていくボイジャーを思うとエモい」と自室から私のところにやってきて涙目で熱く語る長男くんの姿に、私はどんな言葉を返したら良いものか一瞬戸惑いました。


私がまだ幼い子どもだった頃に打ち上げられたボイジャーは名前こそ聞き覚えがあるものの、その存在についてはすっかり忘れていました。そのボイジャーが、二度と地球に帰還することができない運命のもと、果てしない宇宙をたったひとりで遠ざかっていく姿は確かになんとも言えず切ないと感じます。ボイジャーは今もゴールデンディスクという形の1977年時点の地球の記憶を背負い、まだ見ぬ地球外生命体に我々の文化を届けようとしている。これ考えた人、本当にロマンの塊です。

「ボイジャーを受け取った宇宙人が地球を見つける頃には人類は滅亡してるんだよ」長男くんは遠い未来と遠い過去に思いを馳せながら、ずっと涙目です。

「僕、将来、いや生まれ変わったら、ボイジャーを受け取る側になりたい」

宇宙のことを考えて、命のことを考えて、死後の世界のことを考えて、彼はそう言いました。

「ビリオネアが火星移住のこと考える理由が分かったわ。金持ちになって地球のこと知り尽くせたら、もっと知りたくなって、地球の外に行きたくなるんだよ。もし神様が一つだけ願いを叶えてくれるなら、この世界の全てを知りたい。僕らどんなに頑張っても太陽系すら出られないんだ…」

本当に私たちは何も知らない、それなのに想像もつかないほど大きな宇宙の中に生きています。考えると怖くなるのですが、この感覚は「宇宙恐怖症」という名がつけられるほど多くの人が経験しているようです。何かに目覚めてしまった長男くんは、恐怖どころかその宇宙にすっかり魅せられて、アンドロメダのそのまた先に思いを馳せて目を潤ませています。
「IB試験が終わってからまた考えたら?」と私が興醒めな提案をし現時点に連れ戻そうと試みると、「バイオ(生物学)の勉強してたら「生命の起源」になって「地球の起源」になって、宇宙まで来た」と。

「あぁ全てのことを知りてぇなあ…」

そんな言葉を残して、長男くんは自室へ戻って行きました。
私までなんだか胸が熱くなる「宇宙」の話でした。

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