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魚雷モグラ23

久しぶりに、生きている感じがした。
ずっと泣きたい気持ちだったけど、涙も、言葉も出なくて、ただ眠れない夜が続いていた。

おーい、と呼ぶ声を聞いた瞬間から、ぞくぞくと鳥肌が立って、あの時間に引き戻される気がした。少女たちが生きていたあの時間。

空気が動いて、見えないエネルギーが電気のように発され、気付いたら私は泣いていた。(ここまでで上演開始から1分)

声って大事なんだな。当たり前のようであるけど、心からそう思った。届く声。
ちゃんと届いています。

だからもう一度、目を閉じてー。
暗い、狭いトンネルに、今もまだ無邪気な若い魂の蠢いているトンネルに、身から沈んでいた。

最後には呻き声に変わってしまった少女たちの、でも耳の底に残ったのは、さざめく笑い声。生きていた。

観劇後、駅まで友達と歩きながら、良かったねーと言い合った。
今取り組んでいる自主公演について、私は何にもできてない、とこぼすと、
今、ここにいてくれていることが大事だよ。皆いるし。
こんな「当たり前」の幸せを、なぜ私は忘れてしまうのだろう。

また明日。改札の前で手を振って、少女たちのことをまた思い出す。
おやすみ。

おまけ。魚雷モグラのフライヤーに、
ちょっと色味が似ていると思って履いてきた靴下。

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