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サンカクシャの寄り添い-困りも応援も集まる軽やかさ_物件・居場所からはじまる vol.02

東京都豊島区で取り組みを行っているNPO法人サンカクシャは、15~25歳の親を頼れない若者に「安心できる居場所」「住まい」「社会で働くためのサポート」など、基盤を提供しています。

まちとしごと総研が23年度に実施している休眠預金活用事業においても、先進的な取り組みとして注目している団体です。

今回は、代表理事の荒井さん、早川さんに「シェルター等事業に関する物件の利活用と若者支援」をテーマにお話を伺いしました。


サンカクシャの取り組み

Q,サンカクシャは若者に対してどのような役割を担っておられるのでしょうか?

私たちのところには、やる気がないように周りから見られてしまう若者や、働く意欲が低かったり、相談をあまりしない、支援されることに抵抗を感じるなど、様々な気持ちを抱えている若者が来ます。

そういった若者との長期的な伴走が私たちの役割だと感じています。

Q,具体的にどのような寄り添いや支援を行っているのでしょうか?

私たちは、五つの段階で支援を考えています。

最初は、孤立している子どもたちに安心できる場所を提供し、様々な体験を重ねてもらいます。次に、働く意欲を育て、生活を安定させることを目指しています。元々、安心できる環境を持っている若者たちには、仕事のサポートもしています。しかし、すべてがうまくいくわけではありません。

そうした中で、一緒に遊んだり、外出したりすることが、働く前の非常に大切なステップであると気づきました。

卓球や銭湯、バスケやフットサルなどを、遊びを通じて若者たちとの関係を深めています。自然と彼らの中で新たな興味が芽生え、前向きな変化が見られます。そして、気づけば就職活動に取り組んでいる若者も増えています。

遊びとはいえ、これが彼らにとっては大切なことで、このステップを充実させることで、次の段階に進む準備ができます。

普通のビルの扉の向こうではたくさんの若者が思い思いにすごしていました。

若者の住まいから支える

Q,住まいの支援については、入居される際にはどのような対応をされていますか?

最初に全員と面談を行い、状況を把握した上で受け入れを決定しています。居場所の提供や住まいの支援、どのような支援が適切かをそこで判断しています。

受け入れを拒否することはありませんが、行政の支援が利用できる場合、そちらをつなぐこともあります。

Q,現在の管理物件数はいくつあるのでしょうか?

シェアハウス4軒、シェルターは7部屋。物件数でいうと10軒です。

Q,物件の周辺住民の方々とはどのようなコミュニケーションをされていますか?

隣近所との関わりは実はほとんどありません。挨拶を交わすことも少なく、若者に対してのクレーム等がない限り、シェアハウスの存在もあまり知らせていません。これは、東京的な特性とも言えるかもしれません。若者はそのようなつながりが薄いので孤立してしまう傾向があります。

シェアハウスには地縁的なつながり、関係や結びつきは薄いですが、それが若者にとっての居心地のよさももたらしています。

現在引っ越し中のシェアハウス

シェアハウスの様子が、ザ・ノンフィクション「居場所をさがして~僕と家族とシェアハウス~」にて放送されました。シェアハウスの日常がよく伝わります。

サンカクシャに応援が集まる

Q,不動産物件はどのように入手されているのでしょうか?

サンカクシャの活動に共感してくださる地域の方々からの紹介が主です。基本的には、一般の不動産会社から直接借りるのではなく、不動産を扱う仲介者やオーナーとの関係を通じて物件を手配しています。

仲介者の方々は、私たちの活動に対する理解が深く、おかげでスムーズに物件を借りることができて感謝しています。最近立ち上げた新しいシェアハウスは、以前住まわれていた方が偶然にも知り合いで、そこからオーナーに紹介いただきました。

別の物件は、とある会社がサンカクシャ専用として購入し、専用の名前を付けてくれました。この会社は支援している若者にアルバイトをさせて頂いたり、多様な連携が行われています。

Q,物件を購入してくれるというのはかなりの信頼関係ですね。そのような共感者が生まれるために心がけていることはありますか?

私たちのスタッフは日々街に出て、多くの人に会っています。

「若者のために物件を借りたい」ということを伝えており、サンカクシャのことを口コミで話してくれています。そのおかげで、その話を聞いた方から「物件があるんだけど」と連絡をいただくこともあります。

ネットワークを広げることと、欲しいものをはっきりと言っておくこと。これらが非常に重要だと思います。居酒屋での会話や、地域での様々なイベントを通じても広がっています。

また、物件だけでなく、家具や様々な物品をたくさん応援していただいています。

他の団体からは、毎回車で取りに行っている私たちを見て「直接購入したほうが安いのではないか」と言われることもあります。

しかし、実際にもらいに行くことで生まれるつながりから、新たな何かが生まれることがよくありますよ。

ーーーありがとうございました。

インタビューでは若者支援者にとって、とても参考になるお話をたくさんお聞きすることができました。若者との奮闘の様子を語る荒井さんは、大変だな…と感じるエピソードをとても軽やかにお話され、それが若者の寄り添いや応援をあつめるがとても魅力でした。

今回の記事には記載しきれないお話も多々ありました。今後京都にサンカクシャさんをお招きする機会もつくっていき、多くの京都の支援者の方々にも聞いていただきたいと感じています。

今後の情報発信にぜひご期待ください。


【終了しました】サンカクシャ 荒井さんを京都にお招きするイベントの開催が決定しました!ぜひご参加ください。

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