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【採択団体インタビュー】一般社団法人merry attic

まちとしごと総合研究所(以下当研究所)は2023年度、休眠預金を活用し、「京都の若者へ寄り添うアプローチによる生きる基盤支援事業」を実施し、事業資金の助成ならびに団体への伴走支援を実施しました。

採択団体の活動や事業についてインタビュー動画を作成しています。今回の動画の内容について、一部を記事として発信します。ぜひ本編もご覧くだださい。


Q,merry atticを立ち上げた経緯について教えてください。

代表理事の上田です。一般社団法人merry atticは、merryが「わくわく」、atticが「屋根裏」という意味で、活動をはじめて7年目です。私が住んでいた埼玉県の戸田市では待機児童問題が健在化しており、それに対して民間学童の事業者が募集されました。妻が幼稚園教諭だったのもあり、「自分がやらねば」という思いから申請に挑戦したことが設立のきっかけになっています。

私は元々障害支援の分野で仕事をしており、その前はバンドを組んで活動していたこともあります。そこで出会った人や仕事内容、環境の価値の大きさを感じています。

私は「力になりたいに、初めの一歩」というテーマを持っています。児童虐待、待機児童、様々な社会課題の中で、生きづらさだったりとか、苦しんでらっしゃる方々がいる。一方で、そういった社会の問題や課題に一歩踏み込み、力になりたいなと思っている方々もいる。そういった方々が、一歩踏み込めるような実践の場を作っていきたいという思いがあります。

また、社会は変化していき様々な課題が生まれていきます。先々の世代である遥か未来においても想像できないような社会課題があり、挑戦しようとする志や勇気を託していく。大人こそ学び続ける団体でありたいという願いも持って運営しています。

Q,団体の主な活動内容について教えてください。

merry atticでは、子どもたちの多様なニーズに応えるために、各地で幅広いプログラムを展開しています。

埼玉県の戸田市、そして沖縄県の那覇市、浦添市という地域で学童クラブを運営しています。東京葛飾区では放課後子ども教室を実施し、PTAのみなさんたちとも協力して子どもの見守りを行っています。

また、学童クラブがお休みである日曜日に子ども食堂を実施し、温かい食事を提供しています。その他、障害を持つ人々を対象とした訓練事業にも取り組んでおり、学童クラブでの先生体験の機会づくりなど、教育と就労支援を通じて社会に貢献できる機会を創出しています。

京都市伏見区深草では、今回の休眠預金を活用して実施している事業の舞台でもある、独立型子どもショートステイという事業を運営し、お子さんの宿泊を含めてお預かりをすることで、親が子育てのストレスから一時的に解放される機会を提供しています。

Q,京都での活動はどのように生まれたのですか?

京都での取り組みは、京都に行った仲間たちから「学童の課題や待機児童の課題があるみたいだから、学童やりませんか」という話をいただいて、実際に足を運んでいろいろな方にお話をお聞きしました。

行政の方からも「待機児童の課題があり学童が必要」というお話をいただいたんです。結果的には京都では立ち上げに至らなかったのですが、「児童虐待などの発生を予防するためにショートステイ事業が求められているが、そのキャパシティが足りない」ということが新たにわかり、独立型子どもショートステイの立ち上げにつながっています。その他のまちでも同じような経緯があり、課題ありきからスタートしています。

Q,独立型子どもショートステイとはどのような事が行われているのですか?

事業を担当してる海老瀬です。シングルのご家庭もあり、仕事と育児の両立の中で自分の時間がとれない、働くことも大変になってしまうという方もおられます。子どもだけでなく、自分の人生を生きることも大事だと思います。保護者と離れて過ごし、映画や買い物などちょっとリフレッシュするような時間がこの事業で生まれていると思います。

子どもたちは食事をとり、みんなで遊んで、お風呂に入って就寝するという、本当に家のような場所になります。工作や夏祭りなどの行事などをすることもあります。おおよそ2歳〜小学校6年年生くらいの子どもたちが、15名程度来所しています。

Q,子どもたちが家のように過ごす時間なのですね。保護者の方にとってはどのような場なのでしょうか。

施設責任者をしている富山です。3人の子育て経験を活かして、ご飯を作っています。元は精神科看護師をしており、その際も子ども時代につらい経験が原体験になり、生きづらさにつながっているケースを見てきました。予防の観点が重要であることに気づき、子ども時代にアクセスしたいと思い今の仕事にたどり着いています。

休眠預金を活用した事業として、保護者の方々の悩みや相談を聞くことに力を入れています。役所などを含め相談窓口はたくさんありますが、自ら電話をかけたり出向くことのハードルの高さを感じてきました。

子どもを送り迎えする玄関先での会話や、シングルのご家庭もあり、仕事と育児の両立の中で自分の時間がとれない、働くことも大変という中で、あがってお茶でもどう?という感覚で、抱えているものを話してくださると嬉しいです。ここでの雑談をもとに、ご家庭の様々な困りに対応していければと思っています。

Q,今後の展望について教えてください。

実際にやってみると、宿泊支援は日本の政策としては脆弱で、子育てにちょっと疲れたときに一時的にでも親子分離できる制度や居場所が必要ではないか、という課題認識は正しかったように思います。

保護者の方々は「自分で子育てをしなければならない」という思いがあるのですが、頼っていいと思うんです。「数年ぶりに子どもと離れることによって、子どもと素直に向き合えるようになった」という声をたくさんいただきます。

この取り組みを全国どこの自治体でも受けることができるような社会インフラを作るために、政策提言をしていきたいと思います。そのための実証モデルをつくっている段階です。

ーーーありがとうございます。


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