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【菊池将さんインタビュー】ハンディキャップの有無に関わらず得たい暮らし方を実現できる地域を作る

写真右:菊池将さん(相談支援専門員、精神保健福祉士、マインドフルネストレーナー)、写真左:北島(インタビュアー)
プロフィール:宮城県生まれ。19年間リクルート社で商品企画・営業・事業プランナーに従事。東日本大震災後に地元でのボランティア活動を一つの契機に地域に関わるビジネスへ転向。流山市を拠点に農福連携や就労移行支援を行う企業を経て相談支援事業を提供する合同会社ソラトモリを開業。

菊池さんは社会人生活を過ごす中で、先輩や同僚が職場で精神的に苦しんでいる姿を見ること多くあったそうです。そのような方々が活き活きと暮らせる生活を取り戻すサポートをしていきたいと考える様になり、今では合同会社ソラトモリの代表として精神障がい者の自立をサポートしていらっしゃいます。本記事では、菊池さんが現在の事業を始めるに至った経緯、そのインタビューの中で感じたことを記事に記したいと思います。

目次1:リクルート社を退職し、障がい者の自立サポートに従事

リクルートという大企業からご自身が住んでいる流山市で障がい者の自立サポートに従事するに至った転機は2つありました。
 
まず1つは、仕事でご一緒する方が、ふとした瞬間に心を病んで苦しんでいる様子をみたことです。2022年の今となっては休職や環境を変える事について社会的な理解は追いつき始めていますが、2000年前後の頃はまだまだ心の病に偏見を持たれていた状態でした。そうした社会的風潮の中で、仮に職場環境に戻れた人でもビジネスマンとして自分自身の価値に自信を取り戻せない方も多くいらっしゃる事への疑問を感じた菊池さんは、人の心の健康と働き方に関心を持ちました。また、業務でキャリアカウンセラーの資格を取るタイミングもあり、人の生き方や働き方に対する関心はますます大きくなりました。

会社中心生活の難しさを振り返る菊池さん

もう一つの転機として2011年の東日本大震災ボランティアへの参加がありました。
リクルート社の業務の中でも例えばホットペッパーの営業として地域産業の下支えに貢献をしてきた菊池さんでしたが、このボランティア経験を通じて「直接的に本当に社会にとって良いことをしたい」「建前ではなく本音で仕事に向き合いたい」と考える様になりました。
 
そして、自らの働き方を見直し、現在は地域で精神障がい者の方々の自立サポートを行うに至りました。

目次2:相談支援専門員として開業するまで

職場を変える決断をされた菊池さんは、相談支援事業を開業するまでに複数の企業で障がい者支援の現場を経験されました。
 
最初は千葉県流山市に拠点のある株式会社ECAに入社し、農業を取り入れた障がい者支援に携わりました。初めて障がい者支援に携わった中で、精神障がいに関わる分野に徐々に関心が高まりました。次に就労移行支援を行うFreeDesignに転職し、精神保健福祉士の資格を取るまでしっかりと障がい者支援のノウハウを学びました。
 
その後も、うつ病予備軍や求職者向けにメンタルフィットネスを鍛える事業を仲間と立ち上げたり、精神保健領域に特化して精神疾患フォローを行える計画相談支援事業に携わるNPO法人へ転職したり、精神障がい者サポートの専門性を高めながら、障がい者サポートで自分が目指したい姿を少しずつ成長させていきました。
 
複数の団体で障がい者サポートに従事する中で、「個性を活かすフォローを行うことで一人一人が自分の得たい暮らしを実現できるサポートをしたい」という考えを強く持つようになり、NPO法人に所属しながら相談支援専門員の資格を取得し、合同会社ソラトモリを開業し相談支援事業をスタートするに至りました。

流山市を拠点に画家を始め様々な活躍をされている三條 栄子さんが描いたソラトモリのイラスト

目次3:地域の繋がりを活かした地域づくり

相談支援専門員は、生きづらさを感じている方が抱える悩み事の根幹を探り、解決策として地域で提供されているサービスを紹介・申請代行する仕事ですが、要は「人と人を結びつける仕事」と菊池さんは語ります。
 
流山市を拠点に事業をされている菊池さんは、仕事を超えて地域の官民の方々と深い交流を持って暮らしており、行政が提供している社会福祉サービスに限らず個人個人に合った民間との連携も行います。
 
必ずしも仕事目的ではない関係として、千葉県運河水辺公園で開催される「うんがいい朝市」で設営のお手伝いをしたり、事務所を構える流山市の「江戸川台イーストリートプロジェクト」のお手伝をしたりと、日頃の親交の中から支援が必要な方の情報を得る事もあります。
時には、個人的な繋がりのある地域の仲間に支援の助けを求めたり、形式ばった枠組みにとらわれず、一人ひとりの個人に適した支援を行っています。

毎月第三土曜日の朝に流山市野々下水辺公園でこころと身体を整える立禅マインドフルネスセミナー。流山高等学園親の会KOYOクラブとのコラボ企画として開催している。

菊池さんが合同会社ソラトモリを開業される際には、日頃の親交等で出会った流山の仲間に事務所のリフォームやホームページ制作を協力してらもうなど、開業の過程でも地域の助け合いの連鎖がどんどん広がっています。
地域の繋がり・親交を大切にし、つながる先を持つきっかけ作りもサポートしながら、「小さな生きづらさを感じている人でも活き活きと暮らせる地域を作っていきたい」と菊池さんは目を輝かせます。

開業時に事務所リフォームに駆け付けた仲間たち

編集後記

菊池さんのインタビューでは、誰よりもご自身が地域の仲間との繋がりを心から楽しみ、仕事面にも真摯に活かしていらっしゃるのを感じました。
 
一般的なサラリーマンの職場ではワークライフバランスが重んじられているかもしれませんが、菊池さんのインタビューからは「ワークライフミックス」という言葉が一番フィットしそうな感覚がありました。暮らし方や働き方の価値観は人それぞれかもしれませんが、もし私自身が菊池さんのように生き方を選択することが出来たら「人生の幸福度」が上がりそうに思え、今後の暮らし方の指標になりそうだと感じています。
私はほんの数年前に流山市に転入してきました。このインタビュー活動は、生き方の背中を追いたいと素直に思える方々にお会いできる貴重な機会となっており、とても幸せに感じています。インタビューさせて頂きまして、ありがとうございました!

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