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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で不当な解雇に対抗する

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未払い残業代問題とともに労働事件のツートップにある不当解雇問題を取り上げます。労働審判手続申立書や訴状など書面の書き方は当然のこと、労働審判や訴訟でのポイントについて具体的な解説… もっと読む
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「勤務成績が著しく不良」での解雇に対抗する

前回のnoteでは、解雇が有効(適法)であるための4つの条件について解説しました。 解雇にはいくつかのパターンがあって、その解雇が有効(適法)であるための要件もしっかりと就業規則や法律で定められています。雇主の会社が従業員を解雇することは、案外むつかしそうです。そういうわけで、もし雇主が従業員を会社から排斥したいのなら、その雇主は、法律や就業規則によって規制されない、あくまで従業員の合意退職の扱いになる退職勧奨を選ぶということなのでしょう(第80回note参照)。 さて、

解雇が有効(適法)であるための条件は?

第82回で強行法規違反による違法な解雇について、第83回と第84回では労働契約法第16条に絡んだ違法な解雇について解説しました。ややこしくなってきたので、ここで復習の意味もこめて、違法な解雇について整理しておきたいと思います。 ちなみに、解雇が違法であるなら、その後、本人訴訟の労働審判ないし民事訴訟で地位確認請求あるいは損害賠償請求をして、その違法な解雇に対抗していきます。しかしここでは、「その解雇は違法である」という解説までにとどめ、その後のプロセスは後のnoteで説明と

客観的合理性と社会的相当性がない解雇は無効!その具体的な意味は?~その2~

今回のnoteも、前回に続いて、労働契約法第16条にからんだ違法な解雇について述べていきたいと思います。 労働契約法第16条は「客観的合理性」を欠いた解雇、「社会的相当性」を伴わない解雇を、雇主による解雇権の濫用(らんよう)として無効と定めています。この法律・条文に従わなければ違法として、その解雇は無効になるということ。しかし、第82回noteで述べた6ケースの法律・条文に比べると、この労働契約法第16条はざっくりとしています。そのあたりを解説したいと思います。 第77回

客観的合理性と社会的相当性がない解雇は無効!その具体的な意味は?~その1~

前回のnoteの最後に労働契約法第16条に言及しました。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」という条文です。 これを三段論法の論理式で表すと(第67回note参照)、「解雇権の濫用→解雇は無効」という大前提のもと、「¬(客観的合理性 ⋀ 社会的相当性)→解雇権の濫用」という小前提なら、「¬(客観的合理性 ⋀ 社会的相当性)→解雇は無効」という結論になるということです。なお、雇主による解雇

その解雇は法律に違反! 具体的にどんな法律?

第78回と第80回のnoteで解雇に関連した説明をしましたが、今回は違法な解雇について見ていきたいと思います。 解雇が違法ということは、その解雇が法律に反しているということです。では、ここで言う法律とは具体的に何か。 第一に、労働基準法 第19条です。ここでは、雇主が従業員を解雇することが制限される期間、つまり解雇制限期間が定められています。原則(例外あり)、①労働者が業務を理由に負傷または病気にかかった場合の休業期間中、および休業から復帰後30日間、②産前産後の女性の法

解雇と退職勧奨はまったく異なる!

第78回noteで解雇には普通解雇と懲戒解雇と整理解雇があることを述べましたが、これから数回のnoteにわたって、会社の都合で「会社を辞める」ケースでの不当な排斥、「解雇」と「退職勧奨」が不当な排斥に当たる具体的なケースについて解説していきたいと思います。 なお、この『本人訴訟で不当な解雇に対抗する』シリーズでは、不当に排斥された方が本人訴訟で「地位確認請求」ないし「損害賠償請求」の労働審判/民事訴訟を起こせるように、労働審判手続申立書/訴状などの書面の書き方までも具体的に

解雇には普通解雇と懲戒解雇と整理解雇がある

この『本人訴訟で不当な解雇に対抗する』シリーズでは、文字通り、会社からの不当な排斥(ここでは「解雇」という用語を使っていますが・・)に対して、裁判所を使って、しかも本人訴訟で対抗する方策について具体的に説明していきます。 このとき、前回のnoteで述べた3つの「会社を辞める」カテゴリーのうち、 ■ 会社の都合で「会社を辞める」ケースにおける不当な排斥 ■ 自分の都合で「会社を辞める」ケースにおける不当な排斥 に焦点を当てていきます。まずは、前者から解説したいと思います。

「会社を辞める」を3つにカテゴライズしてみます

前回のnoteで述べたように、「会社を辞める」とは、雇主と従業員が当事者となって締結していた雇用契約書を解約する、雇用契約を解除するということです。 会社を辞めるのには人それぞれ様々な理由や事情があるとは思いますが、結局は次の3つにカテゴリーに集約されます。 ① 決まりにもとづいて「会社を辞める」 ② 自分の都合で「会社を辞める」 ③ 会社の都合で「会社を辞める」 本noteでは、まずは、「雇用期間の定めなし」のケース、つまり無期雇用契約のケースについて解説していきます

不当解雇問題でも、改めて、本人訴訟をおすすめします!

本noteシリーズでは、『本人訴訟で未払い残業代を請求する』と題して、弁護士を代理人に付けることなく裁判所を利用して未払い残業代を取り戻す方策や手順について解説してきました。 ここからは、テーマを変えて、未払い残業代問題とともに労働事件のツートップにあると思われる不当解雇問題を取り上げ、『本人訴訟で不当な解雇に対抗する』をお届けしたいと思います。『本人訴訟で未払い残業代を請求する』と同じように、労働審判手続申立書や訴状など書面の書き方は当然のこと、労働審判や訴訟でのポイント