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田端から西尾久へ歩く

田端の駅を降りてまず見えるのはパチンコ屋の大きな看板で、その向こうには延々と続く線路の架線が空に続いて迫っている。山手線一の地味な駅と言われるのは何もないからだけれど、駅の中にはそれなりに便利な店が揃っている。両隣に比べればまだ何かできそうな可能性が残っているので割に降りる人は多い気がする。西に進めば病院があるので発着のバスが充実しており、お年寄りや病院に用がある人には頼もしい。
東にもバスが通っているのだけれど、ずっとどこにいくのかよくわからずにいた。歩いたら坂を下り、郵便局の前を通って踏切まで一本道、流行りの女性向けのジムがあったり小さな居酒屋がいくつかあるだけでもの寂しい感じ。黙々と歩いて線路を越えてもまだ住所は田端のままである。想像でしかないが、このあたりほぼ荒川区のテリトリーになっていて線路越えで通勤するのは大部分荒川区民だ。田端と尾久の親和性を示すのがマンション名で、これだけだとどこまでが田端なのかわからない。下手すると都電近くまで田端と名のつくものが立っている。山手線か高崎線かで大きく運命は分かれ、どちらも道は上野に通じている。多分、千葉方面に行こうとすると途端に難しくなるが、結局は東京か秋葉原に行くしかないので同じと思う。
踏切を渡り高架沿いを歩くと田端新町、新しいマンションが立ちならぶ。このあたりは多分丸の内あたりにお勤めの人が住んでいる気がする。しかし、いまだ職人がたくさんいるだろう工場が続き、西尾久らしきところでやっと山内商店。こんにゃくと甘味の名店、山内さんに出くわす。店主のお兄さんはサーファーである。金曜日はときどき魚屋にもなる。伝統的な商売とのギャップに惚れる人多数。そこからさらに歩くと尾久駅だが、途中でさくらを見て曲がるとまる福が面する明治通りに出る。一つまえのネジの看板だと少し早い。ちなみにここから逆方向に夕方見えるスカイツリーはこのあたり一の絶景であるのでぜひ見て欲しい。
明治通りに出たら信号を渡りすぐまる福が見える。最初は看板もなかったけれど、今はばっちりふぐと福の文字が黄色く目立つ看板がある。そもそものきっかけであるさささカフェのさーちゃんと盟友明日香ちゃんの合作でとても素晴らしい出来である。しばらくは看板がまる福の顔であろうと思う(つづく)

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