己は　世界にひとつの　ひとつだけの花
とでも任ずるのか―
みんな違って　みんないい
とでも　思い信じて
他人はたにん　自分はじぶん
狭い世界で気ままに生きる
そう　そうなのか　ならば　どうぞどうぞ
お好きなままに…

エレベーター
下の階でベビーカーを押す若い父親が乗り込む
「おはようございます」
ぼくは声をかけた
そのわが言葉にも
男は　返事どころか会釈もなく　目も合わせず

自分の前には　空気しかない
そんなふるまい

あきれて　あきれて
じわじわと憤りが満ちてくる
元日の朝
一年の始まりに不快な思い
これっていまどきの連中だからなの？
ヘンでしょ　ヘンでしょ　おかしいでしょ
マンション暮らしなぞ
所詮　現代の
タテに伸びた長屋住まい
おまえはナニサマだ　若造
と
オッチャンは
つまらぬ怒りを胸に
ひとり初詣に向かう