見出し画像

「練馬区光が丘」

どこまでも どこまでも
他人の街

右に折れ まっすぐに行ったとて
目に入るものは
他人の街

自分にとって初めての街
地下鉄の駅を とんとん

階段を上がり ペデストリアンデッキへ
ぐるり と ひと周り
巨大な団地群 タワーマンション その下には整然と街路樹 生まれて40年近くはたつらしいが どれも真新しい
他人の街 街 街

すれ違う住人
下町のそれとは違う顔つき
人種も 話す言葉も同じなのに
ここを歩く人たちは どこかが違う

他人の街を なぜ動き回るのか
なにか発見でも しようというのか
なにかあるか知らん

うろうろうろうろ…

なにかに出合える…

そんな気持ちがむくりと立ち上がり 背中を押した

他人の街で
他人である僕は
他人の中に混じり
他人の顔をしながら
他人を他人としか思わぬ
他人の中で
溶け込んで しまうだろう
溶けに溶け
溶けて溶けて溶け切って
そのとき
他人の街は どこかで見た街のひとつ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?