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「ひっそり すみっこ」

ぼくだって
堂々と陽のあたる道の真ん中を
お供の何人かでも引き連れ 歩いてみたかった
ぼくだって
そっくり返って かえって 胸を反らしそらし 天を仰いで自分がひっくり返るくらい
エラソーにしてみたかった
ぼくだって
男にも 女にも ちやほやチヤホヤちやほやされて
スケジュール帳が真っ黒になるくらい
忙しい日々を過ごしてみたかった
でも ぼくは
すみっこが好きで
ちょっとひんやりした日陰で
他人の動きを息をひそめて 見ている
でもでも
そんなすみっこが 実は
ずいぶん減ってしまった
図書館だって席は半減 なじみにしていた私大の図書館は1年半も学生以外は入れない
大きなビルの待合スペースとか 消えたところだってあるし…
喫茶店にでも飛び込んで…ヒマつぶし…
でも 500円もしないコーヒー銭すら 惜しく感じる
今いちど
丹念に街の中を歩いてみると
居心地のいい 公共スペースが見つかる
誰にも侵されない すみっこ
ぼくの居場所
こうしてペンを走らすことができる 場所
この すみっこ
誰にも教えたくない
でも 次に来たときは埋まってるかも…ね


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