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「若者たちへ」

オッチャンに教えてくれないか
君らの 枷となっているものを
枷(かせ)だよ
鉄や木でできた 手足 首にはめる
罪人を縛り付けるものだ
もちろんそんな 刑具なんて
ひとつの ものの例えだ
そんなこと言わなくたって わかるよな
バカにすんなって
ああ ごめんごめん
オッチャンは どうしても
若い連中は 何も知らんって
そこから始まるからな
もう一度聞く
君ら 若者にとって 枷はなんだ
え? そういうオッチャンはないのかって?
そうだな そう
人にものを聞くなら
まず自分から話せよってな
うん オッチャンにとっては
やっぱり 老化だな
トシをとるとだな
いろいろ 体も心も不自由になってな
オッチャンの場合は
歯がぐらつき
目は老眼鏡なしでは字が読めない
マラは言うこときかないんだ
ピクリともしないよ
カチコチの熱い棒になったことが
あったなんて
遠い遠い昔さ
歯と目とマラ
ハメマラの衰えが枷だな
ははは
ま 笑っておくれ
さあ 言ったぞ
何事も意のままにならない
時間が 何十年もの時が
少しずつ 少しずつ
枷になっていったな
入る金だって 定年になったら途端に減った
激減だよ
外食も 飲みにも簡単に行けない
金がないっていうのも
大きな枷だな
うん
金と体の話は 老いの話はしたぞ
さあ どうだ
若者よ
君らの枷になってるものは 何なんだ
おい 何とか言ってくれよ
君らとて
その年齢 立場 環境で
生きにくさ
見えない枷に縛られてるんだろ
それを自分じゃ簡単に外せない 断ち切れない
見えない枷に苦しんでるんだろ
そうだ そうだろ?
きっと そうだよ
枷を ぶち切って
立ち上がろうじゃないか
それをできるのが 若者ってもんだろ
おい そうだろ そうだろ
違うのか
オッチャンはもう この枷から
逃れられないんだよ
だから
若い君らが
君らに期待して
何かをやってくれるって
おい 何か言っておくれよ
立ち上がるんだ
枷を破ってやるんだって
おい 無言なのか お前ら
根性ねぇよな
結局 オレらと同じだったんだナ

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