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「彼女の一言」

あのひとが口にした
さもしい――という
言葉
ずっと それが消えない

「内輪の飲み会を経費で落とすなんて
さもしいじゃないですか」

あの女は言った

新橋の地下街の中華屋
2人でプチ打ち上げをした時
そう言ったのだ

だから ぼくはあの時
2千円だか 3千円だか
彼女の分を自腹で払った

あれ以来
彼女が放った
さもしい――
その言葉が思い浮かぶ

いやしい
欲深い
心が汚い

修行僧を表す
サンスクリット語の
沙門(しゃもん)が語源なんだと
みすぼらしい姿で
布施を乞う様に重なる

経費を自分で 仲間内で
使うのは
さもしい――

多くの勤め人 自営業者だって
実務と直接関連しない
飲み会を経費処理するだろう
ぼくも過去にそうしていた
何度も 何度も

カネのあるなし
多い少ないでなく
極力自分のカネは
出し惜しむ
多くの人がそうなのだが
それは
さもしい行い

ああ
あの女の前で
さもしい自分を見せたくない
ずっと そう思い続ける
次の機会はやってこないのだが

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