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途方に暮れる、とも限らない。 #第8夜


初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。

この人生で湯を沸かすほどの熱い愛があったかというと定かではなく、出逢ってきた殿方みんな大好きだったけれど、誰のことも身を焦がすほどではなかったのかなと冷静に振り返ることもあって。

失って初めて気付く大切さ、みたいなのってキレイごとで、所有欲と自己愛を美化したらこんな歌も歌えるのだろうと、あまのじゃくなわたしは思うのです。


ほんとうに大切なものならなりふり構わずしがみついたり、泣き喚いて繋ぎ止めたり、そもそも失わない努力を怠らないのだろうと頭では理解していても、怠慢さが露呈するのもまた人間です。

自身のそれを棚に上げ、途方に暮れてみたりするのだろうと思います。


ところで、本能ってたしかにあって、言葉では説明できないなにかを察していたり、頭ではなくカラダがそれを求めたりするのですが、

本能の赴くままに生きすぎて、ふと我に帰ると空っぽなこともあります。

たとえば、いま、わたしはとてつもなくあなたに逢いたいのだけれど、逢ってしまったらこの想いさえも泡のように消えてしまうのです。

それならばいっそのこともう一生逢えないほうがずっと想っていられる、という矛盾を抱えながら、今日も途方に暮れたフリをして生きていくのです。



つづく




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