見出し画像

教えてください神様 ー春を待つということ。 #第9夜

初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。

オンナも不惑を前に
心を焦がすほどの恋ができることを知ったわたしに与えられたのは
狂おしいほど募る想いと、
くだらないと思っていたはずの猛烈な嫉妬と、
残念ながらこの手の重たいそれは成就しづらいという経験値と。

恋煩いとは言い得て妙、
会うほどに好きになるこの気持ちを止めることはついぞ叶わず、
爆発しそうになる心拍数の上がりきった心臓をどうにか収めて、
ひとには分からぬよう取り繕って
取り繕う演技が上手いのか相手の交わす能力が高いのか
わたしの想いは気づかれず、
かねてから好きな気持ちは好きと伝えて
猛烈にアピールすることでお馴染みの
わたしの恋愛スタイルにはハマらずに、

これまでのゲーム感覚で始まるそれではなく
まるでティーンエイジャーのような
ひっそりと思いながら目が合えば顔を赤らめる、
そんな純真な乙女心を引っ提げて
なんでもないふりが上手になったわたしは今日も生きるのです。


これらを繰り返していると、
自分の感情だけでなくまわりの気持ちのゆく先にもたいへん敏感になり、
視線の先にいる彼が向ける視線の先に映るひとになれないわたしがいて、
一方通行の恋のもどかしさをいまなお味わえているのも人生何度目かの青春期なのでしょうか。

彼との関係を失いたくないわたしがいます。
それほどに、愛おしい存在なのです。


ひっそりと、
それはもうひっそりと想い続けてきたのですから
こちらの気持ちは熟成しているとして
それは相手には関係のないことで。

この想いを伝えたいというエゴと
相手にとって困惑なだけの押し付けはしたくないわたしの言い訳とを行ったり来たり。



好きな気持ちを伝えてしまったら、
もう同じではいられなくなる。
それならば、ただ小さい小さい光にしてしまって
年相応に柔らぎを携えたわたしのこの胸のなかで
消えてしまわぬよう育てていくのがいいのやもしれません。

だけれども、桜の美しいこの季節にひとり
夜空を見上げながら歩いていると何故だか涙があふれてきます。


あなたのそばでともに月を見上げる時間を共有できたのなら
どんなにか素晴らしいだろう、と。
それが叶わぬと知っているから、わたしは涙を流すのでしょうか。


教えてください、神様。
あのひとは何を見てる?
何を考え、誰を愛し、誰のために傷付くの?


出来ることなら包帯にでも消毒液にでもなって
あなたのその傷を癒やしたい。
見返りは要らない。
あなたを苦しめるすべてのものから守ることはできずとも
せめて、守ってあげたい、と想うことは
神様は罪とせず認めてくださるのでしょうか。



つづく

#次回最終夜

この記事が参加している募集

忘れられない恋物語

沼落ちnote

いつもお立ち寄りくださりありがとうございます!これからも、必要な方に届くように言葉を紡いでいく予定です。あなたのサポートがチカラになります。お待ちしています。