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Laundry - Challenges by Ms Thandeka

テンデッカちゃんが以前町の工場に勤めていたとき住んでいた自宅には電気がない。要冷蔵の食品(例えばチキン)を購入したら、隣の区画に住んでいる友人宅の冷蔵庫で預かってもらう。タウンシップと呼ばれる旧黒人居住区の中に、通りを挟んで区画が違うと電気がきているところときていないところがあるらしい。

天気の良いある日、テンデッカちゃんが高級ステーキハウスの制服である白シャツを大量に洗濯していた。バケツに粉せっけんを入れて、手洗いである。私とテンデッカちゃんが住むコテージ(南アフリカでは母屋に併設するワンベットワンバスルームの建物をコテージと呼ぶ)は洗濯機も冷蔵庫も使備えつけられているが、南アフリカは計画停電が多く、日中洗濯機が使えないことも多い。それでも私は電気が使えるときを選んで洗濯するけど、テンデッカちゃんは慣れた手つきで、5枚も6枚も白シャツをバケツで手洗いしていた。この大量の白シャツは、高級ステーキハウスに研修生として勤務し始める日に大家さんが準備したものである。

テンデッカちゃんの手洗いの洗濯には、すすぎのプロセスがない。ごしごし洗って、泡たっぷりのままバケツから取り出す。そうきたか、と思ったのが、そのまま中庭のロープに干す。洗濯ばさみで留められた白シャツから、ぽたぽたとしずくが落ちる。

ちょうど計画停電が終了したタイミングだったので、「洗濯機で脱水だけかけたら早く乾くと思うよ」と説明したら、おおそうかと、早速洗濯機に大量の白シャツを入れて脱水していた。テンデッカちゃんも、そうきたか、と思ったかもしれない。

結局夜通し中庭に干して、翌朝アイロンをかけて、颯爽と高級ステーキハウスに仕事に行った。同じコテージに住んでいても、生まれ育った環境によって生活スタイルが異なっていて、いろいろと発見がある。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。


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