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Village - Challenge by Ms. Thendeka

テンデッカちゃんの生まれ故郷は、私の住むヨハネスブルグから車で7時間のところにあり、南アフリカのど真ん中のモダンな世界と対照的で、山の中にところどころ点在するとても小さな村の、その中でも小さなコミュニティのひとつだった。

テンデッカちゃんの実家には、テンデッカちゃんのお母さんと既に退職したお父さんと、テンデッカちゃんの子供であるピオちゃんと、テンデッカちゃんの弟の子供であるクモちゃんが住んでいる。ヤギを飼い、畑を耕し、森の中で探してきた草で編んだバスケットを売って生活していて、テンデッカちゃんの毎月の仕送りであるR1,500(=JPY12,000)が主な現金収入となる。

テンデッカちゃんの弟であるクモちゃんのお父さんは、次から次へと違う彼女とつきあっては子供ができて、育てることも親として責任を果たすこともままならず、もう子供は10人以上になるんじゃないかしら、とテンデッカちゃんのお母さんは笑っていた。つられて笑っていいところなのかどうか、微妙に悩む。クモちゃんはそのような事情により、テンデッカちゃんのお母さんが育てていて、テンデッカちゃんもシングルマザーで村を離れて働いているため、テンデッカちゃんのお母さんがピオちゃんとクモちゃんを育てている。

小学校4年生になったふたりに宿題を教えるのが大変だとのことだったので、ピオちゃんとクモちゃんに学校の宿題を見せてもらった。よくよく聞いたら、英語と国語と算数と生活の4科目のみ。ちなみに日本の小学校学習指導要領によると、日本の公立小学校の科目数は7科目。国際協力分野に身を置くと、教育が大切なのだ、研修やキャパシティビルディングが大切なのだ、という意見は非常によく聞くが、若干小学校4年生で生まれた場所によって科目数に違いがあるとは知らなかった。

「将来何になりたい?」

子供達って未来が広がっていてすてきだなと思いながらそんな話しをしていたら、ピオちゃんは「医者になってアフリカをよくしたい」と答えた。すごい。クモちゃんは「先生になりたい」と言っていた。

テンデッカちゃんの生まれ故郷の村はとても美しいところだった。その数週間後に、テンデッカちゃんが休暇を取って帰省を計画しているとはそのときはまだ知らなかった。そしてその帰省が、彼女の挑戦の難易度をまた一段階上げることになる。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。




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